年の離れた姉から電話があった。
「そっちはどう?一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。一人じゃないし」
「一人じゃない?」
「彼氏と一緒にいるの。幼なじみの彼と付き合っている」
姉はちょっと黙ってしまった。そしてため息一つ。
「そう…」
「ごめんね、姉さん」
「謝らなくていいのよ。私はいつでも貴女の味方だし。…でも何かあったら遠慮なく相談して」
「大丈夫。私は幸せだよ。泣かなくてもいいくらい」
「よかった。じゃあ、また電話するからね」
「うん、また電話してね」
電話を切ってふうっと息をつく。彼は今お風呂に入っている。何か飲もうかな。
「あれ?電話してた?」
「うん、ちょっとお姉ちゃんから」
「そっか。いつかご家族にも挨拶に行かないとな」
「まだ早いよー」
今日は二人で映画を観ている。のんびり出来るように家のソファーで。
かなり怖いホラーらしいけど大丈夫だろうか。
飲み物や軽くつまめる物を用意して、軽く雑談をする。
ヤバいシーンが出て来たら見せないようにしなくては。
そしてついにそのシーンがやって来た。
「うわっ!」
思わず君に抱きついてしまった。
君はちょっとびっくりしたようだったけど、それは俺が抱きついたからのようだった。
最初はキョトンとした顔だったけど、次第にニマーっと笑みを浮かべる。
「結構怖がりなんだねぇ」
ああ、恥ずかしい。穴があったら入りたい。
その後君に頭をヨシヨシされた。なおさら恥ずかしい。
星が溢れる夜。
今夜は二人で買い物がてらお散歩。
自然と手を繋いでいた。
「えーと、何だっけ」
「どうしたの?」
「“星が綺麗ですね”だっけ。あれ?」
「それを言うなら“月が綺麗ですね”だよ」
「そうだった。でも今日は星が綺麗だな」
くすくすと笑うと彼は人懐っこい笑顔を浮かべながらこう言った。
「またこうやって散歩しような」
「うん!」
今日の君はかなり眠そう。
徹夜でレポートを書いていたからね。
「どうだった?」
「うん、先生から褒められた」
「そうか、お疲れ様。今日の夕飯は俺が作ったから」
「ありがと〜」
簡単な食事だったけど、君は嬉しそうに食べた。
食べ終わった後、君はテーブルに顔を突っ伏して寝ようとしている。
「こら、ちゃんとベッドに行こうな」
「うーん」
頭をわしゃわしゃと撫でると、君は安らかな瞳をして笑う。
そのまま寝入りそうだったので、君を抱えてベッドまで運ぶ。
…今日は一緒に寝てしまおうか。
幼い頃一緒に遊んだ男の子。
ある日顔を真っ赤にしながら「結婚してください!」とおもちゃの指輪を差し出したっけ。
その次の日、父の転勤でお別れの言葉も言えずに引っ越した。
すごく悲しかったけど、そのおもちゃの指輪を見ると彼の笑顔を思い出して頑張れた。
大学生の時彼と再会した。
あの人懐っこい笑顔は変わらなかった。
初デートの時、彼は顔を真っ赤にして「結婚を前提にお付き合いしてください!」とシルバーの指輪を差し出した。
うん、これからはずっと隣で。