「ひだ」
にゅうっと手を伸ばし
心臓をひっくり返す
ひだひだ
ざらざら
赤黒くうごめくそれは
生きている証
あなたも触ってみたい?
ほんとうは私にしか触れないけれど。
なによりもの愛情を
みせてあげる
あなたの心を
内側から覗き込めるのはあなたしかいない
だからそんなに
やすやすと
自分の感じたことを
外にばかり出そうとしないで
もっと観察して
考えて味わって愛でればいいの
ひだの
ひとつはひとつに
血が詰まっていた
あなたが詰まっていた
なによりも濃い濃度に
窒息しそうになって
ふぅーーーと息を吐く
#裏返し
3ヶ月ぶりの再開
さいころ
あがり
0 1 0 1
#何もいらない
「もしどちらかを選べるのなら
未来に行きたいですか
過去にいきたいですか」
そんなありもしない2択を
誰しも考えたことがあるかもしれない
未来には希望のひびきがある
明るくて 今よりよいものが
待ち構えているような ときめき
過去には少し暗い陰がある
歴史に埋もれた 人びとの思いが
詰まっているような気がする
もしも未来を見れるのなら
もしも過去を見れるのなら
その方向性の違いの中に
人の性格の本質的なものがあると思う
#もしも未来を見れるのなら
「逃げちゃダメ」
わかりやすいものに
逃げちゃダメ
かんたんな方に
逃げちゃダメ
やさしいあなたの
その鋭さが耳に残っている
ぴしゃっと
山から一番に
湧き出た雪解け水を
かけられたよう
つらいときは
逃げてもいいんだ
とも聞いたことがあるよ
どちらがほんとうなんだろう
わたしが逃げたかったのは
何からだろう
つらい場所から逃げるのは
悪くない でも
わたしが逃げようと
思っていたのは
きっと わたし自身
わたしはわたしで
あり続ける
逃げちゃダメ
なのは
自分から逃げたい
と思う自分から
逃げるとは
自分の手綱を誰かに
明け渡すこと
脳みそを溶かして
多くに迎合すること
戦わなくていい
勝たなくてもいい
小鹿のように
ふるふると震える足で
立っていろ
#ここではない、どこかで