10/9/2025, 10:14:40 AM
十一
初めて、好きな人をご飯に誘って、浮かれて、緊張して、でも楽しくて。
あなたが椅子を引いてくれたことも、料理を決めかねている私に別々の頼んでシェアしようって言ってくれたことも、距離を近づけてみた時それを拒まないでいてくれたことも、全部全部全部、私の美しい思い出にするね。
どうか叶うことなら、次はあなたから誘ってくださいませんか。月が綺麗だと、あなたに言いたいの。
「秋恋」
11/10/2024, 11:11:47 AM
十
私たちがススキだと思っているものは実はススキではないらしい。私がSNSで仕入れただけの豆知識を披露すると、君は目をまあるく見開いて、高く澄んだ声で「そうなの!?」と言った。本当は何という名前の植物なのか、私は知らなかった。たしかあの時、君が調べて教えてくれたっけ。
私が君に告白して振られてから、お互いどこか気まずくなって疎遠になってしまった。私の好きは恋だったけど、君の好きは友情だったらしい。どちらも好きに違いないのに。
秋になると毎年この記憶を思い出す。私は名前なんてなんでもいいだろって思ってたけど、君はススキじゃないあの植物をちゃんとした名前で呼びたがってた。
……そういうきっちりしたところにも、恋してたんだよな。
「ススキ」
9/3/2024, 4:06:42 AM
九
あなたのひとことが、私の心に火を灯している
歩む道の先が見えなくなっても、不安に駆られても
ちろちろと揺らぐ火は
きっといつまでも私を勇気づけましょう
「心の灯火」
8/15/2024, 2:02:02 PM
八
水面に映る月を手の椀にすくって
かあさまに見せるんだと
裸足で砂を蹴る
「夜の海」
8/7/2024, 11:53:04 AM
七
人がいつか死ぬなんて最初からわかってた
今日がその日だとは思いもしなかったけれど
運命の無情なこと
「最初から決まってた」