【願いが1つ叶うならば】
もし、願いが1つ願うとしたならあなた達なら何を願う?
僕?
僕は…そうだな、…うん、、きっと今と変わらず幸せでいられることを願うかな
【嗚呼】
ぁ、嗚呼!神よ!こんな俺にも笑顔を向けてくれるというのか!
やはり彼女は俺にとっての女神だったのだ!
これ以上に幸せなことなど何もない!!
…偶像?彼女が?
はっ、何を馬鹿なことを。確かに彼女は一般人の俺たちじゃ近づけない存在だ。
でも彼女は俺たちを大切にしてくれる!愛してくれている!
…そうだろ?
【秘密の場所】
僕には秘密の場所があるんだよ!
ママやパパ、おともだちのそうたくんにだって言ってないばしょなんだ!
けど、とくべつにお兄ちゃんにだけは教えてあげる!
こっち!こっち!
そう言って弟のミツルはよく俺に人気が少なく景色が綺麗な自分の気に入った場所へ俺にだけ教えてやると連れて行ってくれる。
川の近くの洞窟、学校裏の竹林の奥にある小さな滝のある湖。
ミツルは水辺が好きだった。案内してくれる秘密の場所には必ず大きさ関係なく水辺が存在した。
水辺が好きではしゃぐミツルを見るのが好きで、気づいたら俺も水辺が好きになっていた。
ただ、そんな水辺もミツルとの大切で愛おしい記憶から、全て絶望と喪失感で上書きされてしまった。
俺がミツルから一瞬でも目を離してしまったせいでミツルは、足を滑らせそのまま流れの速い川に流されて行ってた。
引き上げられた頃にはもうミツルは体が硬直し冷たくなってしまっていた。
両親や親戚は俺を責めなかった。
いっそのこと、責められてその罪悪感を感じたまま苦しんで死にたかった。ミツルも同じくらい、いやそれ以上に苦しんで死んでやりたかった。
ただ、今ミツルに会いに行ってしまえば早すぎると怒られてしまう。それだけは避けたい。
だから寿命まで生きてすぐにミツルに辿り着いやる。ごめんな、まってろ、ミツル。にいちゃんもすぐにおいかけるからな
聞こえているかはわからないが空に向かって言っていておいた。聞こえてるといいなぁ…
【ラララ】
ラララ♪ランラン♪
楽しそうに口ずさむ声が聞こえる。
「どこから聞こえるんだ…?」
ラララ♪ラララ…♪
上か…?
上を見上げるとそこは病院だった。
病院の6階の位置の窓がちょうど空いている。
なぜだかわからないが気になった。病院の中に入って看護師さんに尋ねてみた。
「先ほど外を歩いていたら人が歌っている声が聞こえてその歌が素敵だったのでぜひ、本人に素敵な歌声だったと伝えて欲しいのですが…」
「わざわざそんなことで!ありがとうございます。つたえておきますねっ!聞こえた場所は西側と東側どちらの方面の何階でしょうか?」
「お伝えお願いします。場所は東側の6階です。」
「6階…ですか?」
「はい。6階でした」
「変ですね…」
「え?何がですか?」
「この病院には6階はないはずなんですが………」
【風が運ぶもの】
風の郵便屋さん。主な仕事は芽となる種をいろんな所へ運ぶこと。
その仕事も最近は昆虫に取られてしまった。どうやら昆虫界で郵便屋という仕事が人気職業ナンバーワンになったらしい。
少し前までは人間に知らせをする仕事が人気だったのに。
俺たちは郵便屋の仕事を取られればすることはほとんどない。他の職業はほぼボランティアに近いもの。
風にとって郵便屋は一番働き手の多い職業。他の仕事は冴えないものばかり。これを機にボランティア業でも開業するのもありかもなぁ。