【秘密の場所】
僕には秘密の場所があるんだよ!
ママやパパ、おともだちのそうたくんにだって言ってないばしょなんだ!
けど、とくべつにお兄ちゃんにだけは教えてあげる!
こっち!こっち!
そう言って弟のミツルはよく俺に人気が少なく景色が綺麗な自分の気に入った場所へ俺にだけ教えてやると連れて行ってくれる。
川の近くの洞窟、学校裏の竹林の奥にある小さな滝のある湖。
ミツルは水辺が好きだった。案内してくれる秘密の場所には必ず大きさ関係なく水辺が存在した。
水辺が好きではしゃぐミツルを見るのが好きで、気づいたら俺も水辺が好きになっていた。
ただ、そんな水辺もミツルとの大切で愛おしい記憶から、全て絶望と喪失感で上書きされてしまった。
俺がミツルから一瞬でも目を離してしまったせいでミツルは、足を滑らせそのまま流れの速い川に流されて行ってた。
引き上げられた頃にはもうミツルは体が硬直し冷たくなってしまっていた。
両親や親戚は俺を責めなかった。
いっそのこと、責められてその罪悪感を感じたまま苦しんで死にたかった。ミツルも同じくらい、いやそれ以上に苦しんで死んでやりたかった。
ただ、今ミツルに会いに行ってしまえば早すぎると怒られてしまう。それだけは避けたい。
だから寿命まで生きてすぐにミツルに辿り着いやる。ごめんな、まってろ、ミツル。にいちゃんもすぐにおいかけるからな
聞こえているかはわからないが空に向かって言っていておいた。聞こえてるといいなぁ…
3/8/2025, 4:51:28 PM