【そっと伝えたい】
私の音はあなたにだけ届けばいい。
「すきです」
その音を今あなたへ
【未来の記憶】
夢を見た。私が密かに思いを寄せている彼と結婚する夢を。
「まだ付き合えてすらないのに結婚とか…はぁ…」
それにしてもやけにリアルな夢だったなぁ、
「…ん?」
周りをよく見渡してみると雰囲気はよく似ているが私の部屋ではない
「えっ!?」
私は確かに昨日自分の部屋のベットで眠ったはずだ。ここは何処だろうか?
?「大きな声出してどうした!?」
「誰っ、?…って、え?香山くん!?」
どうして目の前に私の好きな人がいるんだ?もしかしてまだ夢の中にいるのだろうか。でも、私の知っている香山くんとは雰囲気が違うような…
すると香山くんが口を開いた
「香山くんって…今はかなでも香山だろ?」
「私も…?」
目の前の彼は今何と言っただろうか?かなでも香山だろ?私の名字は松林のはずだ。
「まだ夢の中なの…?」
思わずそう呟く
「いつまで寝ぼけてんだよ。俺たち結婚しただろ?"一ヶ月前に"」
一ヶ月前…?一ヶ月…
「あ、」
そうだ。私は結婚したんだ、学生時代の思い人である香山くん…いや、圭人と。
「ごめん、だいぶ寝ぼけてたみたい」
「しっかりしろよな〜、ほら朝ごはんできてるから食べようぜ」
「うん、ありがとう」
あれは私の夢じゃなく過去の記憶だったらしい。ただ私は寝ほげて夢での出来事だと思い込んでいたからもしかしたら未来の記憶だとも言えるかもしれない
【ココロ】
僕の家には子守りロボットがいる。まだ小さい弟の世話で僕に構ってやれないからと導入したらしい。僕はロボットじゃなくてママやパパに構って欲しいのに。
子守りロボットの名前はルザルト。ルザルトは何故かいつも僕の近くにいる。
どうして着いてくるのか聞いたら「ゆうと君と一緒に居たいからです」と言われた。
どうせ、プログラミングされただけに違いない!
だからママたちに一度
「ロボットなんか僕は好きじゃない!」
って言ったんだ
そしたらママたちは
「ルザルトにだってココロがあるのよ!」
と僕を叱った。
あるわけないじゃないかこんなロボットに。子守りロボットなんて言われてるくせに同じ言葉しか繰り返さない、後をついて回ることしかできない、一緒に遊ぶことだってできないのに。
ママもパパもロボットも弟もみんなだいきらいだ!!
【星に願って】
「お星様にお願い事をしたら夢は叶うのよ」
それが母の口癖だった。なんでも母は小さい頃に星に願い事をしてそれが叶ったらしい。
「ふーん、」
けれど私はそこまで信じていなかった。星はただの星。 だってそうでしょう?流れ星ならまだしも普通の星のことだもの。
…それに、母を助けてくれって星に願ってみたが叶わなかったんだから。
願いを叶えてくれる星が好きでいつもお願い事をしていた母は昨日、願いを叶える側になってしまった。
普通の星を信じることはできなかったけど母の星なら信じてみようか。
「必ず見つけ出して見せるからその時は私のお願い事を叶えてね、おかあさん」
【君の背中】
僕たちは二人で一つだった。バカをするのも授業を抜け出して叱られるのも、どんな時だって一緒だった。
だけど君は、僕とは違う人と仲良くなって僕よりその人を優先するようになった。
気づけば僕は置いてけぼりで君の顔がぼんやりとしか見えなくなっていった。
嗚呼、大好きだった君の背中をこんなにも憎らしく感じてしまう日が来るとは思っても見なかったな。