1年後、私は何をしているんだろう。
大切な何かを見つけるだろうか。
人間として大きくなれているだろうか。
でも、絶対に考えることをやめないはずだから。
きっと、【私】をつくってくれるものを選んでる。
子供の頃に、私は大きな傷を負ってしまった。
痛くて痛くて、ずっと泣いていた。でも、誰も気づいてくれなかった。
そのまま大人になっていくにつれて、あの時どこかに、成長するためのピースを落としてきてしまったのかもしれないと、考えるようになった。でも落としたものを見つけるなんてできないし、複製するなんてこともできない。だから見ないふりをした。その時、きっとたぶんもう一つのピースを落としてしまったのだと思う。
今も、時々歯抜けの穴から子供の私が見え隠れする。
朝起きて日光を浴びる。
朝食を食べて、若干ばたばたしながら最寄り駅へ向かう。
昼食には、ちょっと贅沢をしてコンビニの高くて美味しい飲み物を買う。
夕方、西日の中で眠気と戦いながら、最寄り駅を寝過ごしてしまわないよう気をつける。
まだ、貴方を喪ってしまった悲しみは癒えないけれど。
日々日常を繰り返していくうちに、ようやく分かってきた。
強くなるとは、これを何百回も何千回も何万回も繰り返していくことなのだと。
ほら、見てごらん。色々な色の花が咲いている。
青い花は、誰かが押し殺した悲しみで咲いた花。
紅い花は、誰かが押し殺した怒りで咲いた花。
緑の花は、誰かの優しい嘘で咲いた花。
ピンクの花は、誰かが誰かを思って咲いた花。
紫の花は、誰かの誇り高い思いで咲いた花。
私の好きな色の花?
苦しくても前を向こうとする思いで咲く、黄色の花。
貴方がいたから、私はこうやって生きてこれたの。
貴方がいたから、このクズな世界を愛してみようと思えたの。
貴方がいたから、下らないと思っていた感情に振り回されてもいいと思えたの。
私の乱れた髪を、そっと撫でてくれた貴方の手が恋しくてたまらないの。あの時と同じくらいに髪を乱れさせてるのに、貴方の撫でてくれる手の温かみは一向に感じないの。
だめなの。だめになっちゃったの。ずっとずっと蹲ったまま、動けなくなっちゃったの。