拝啓、14歳の君へ
こんにちは。気分はどうですか?部活、楽しいですか?
私は4年後のあなたです。
4年後の私から見たあなたは、本当に小生意気です(笑)
でも同時に、思いっきり抱きしめたいと思います。
しんどいね。苦しいね。なんで、世界はこんなに暗くできてるんだろうね。今の私でも思う時あるもん。
そうそう、何も考えていないクラスの人達を見て、あなたはとことん見下してたよね。でも本当は、ああやって友達と笑い合えるのがすごく羨ましかったんだよね。
自分なんか一つも良いところなんてなくて、でもそう思っちゃうのも辛いから、必死にその細い腕で自分の心を守ろうとしてたよね。
ありがとう。私の心を、絶望から守ってくれてありがとう。大丈夫、周りの人達は敵じゃないよ。あなたに幸せになってほしいって願ってくれてる人、たくさんいるよ。大丈夫。世界は苦しいだけじゃないよ。不平等だけど、うんん、不平等だから、良いことも悪いこともランダムにあるんだよ。
だからどうか、あなたが生きている人生に絶望しないで。きっと大丈夫だから。 18歳の私より
あなたがそうしてほしいと言ったから。
その方が、あなたが助かると思ったから。
私は禁忌を体に宿して、印を付けたの。あなたのためにという意味の印。
でもあなたは、寧ろ私を遠ざけるようになった。私の体に付いた印から逃げるように。それは、罪悪感なの?それとも、私はもういらないの?
分からない。ただこの印が、あなたと私を繋ぎ止められるものだから。逃れられない『好』と『憎』の呪縛に、禁忌をそっと閉じ込めて。
今日も私はあなたに笑いかけるの。
さようなら、昨日の私。
泣かないで。大きくなるというのは、少し寂しいことだけど。もうあの頃の自分になれないと思うのは、切ないけれど。それでもあなたが、大きくなろうと一瞬一瞬必死に努力してくれたから、それがどれだけ尊く輝いているものか理解できたよ。その時のあなたにしかできないことを、大事にしてね。
はじめまして、明日の私。
あなたの姿はよく見えないけれど、今の私にしかできないことを、一瞬一瞬必死にするから、いつか隣に立たせてね。
そして、遠くの遠くにいる私。あなたはきっと、すごく素敵な人になってるんだろうな。どうか、できなくなったことを嘆かず、その時のあなたになったからできるようになったことをしてね。
辛いこと。
悲しいこと。
苦しいこと。
その度に流れていく涙も、流せなくてどこかに押し込めた涙も、全部全部、透明な水。
大丈夫。私の中にあるものは汚れてない。《私》という透明な色に、涙が染まってるんだから。
大丈夫。私は不幸じゃない。
どんな時でもプロ意識を持って好きなことを極め抜く。
いつも笑顔で、見ている人も明るくなるような人になる。応援してくれる人達をとことん大切にする。
あーあ、やっぱり私は全然なりたい私になれないなあ。
でも、どんなに時が経ったって、結局今みたいに「理想と違うや」って嘆くんだろうな。
むしろずっとそのままでいいかもしれない。理想通りの自分で幸せになったら、まるで夢を見てるみたいで怖いもの。理想は理想で遠い夢。それに届くようにもがいて嘆いて、それで成長していくのがほんとの"幸せな人生"ってやつじゃないかしら。