「おはよー」
「おっはー!」
いつものことだけど、朝の教室って意外と賑やかだなぁと考えながら定位置に着く
「ねぇ〜、聞いてよ!彼氏がさぁ…」
「あ!やばい!!」
「なになに?どしたの急にさ笑」
あぁこれは毎度同じ流れかな?多分…
「ノート見せて!!今日英語当たるの忘れてた笑笑」
「またぁ…いい加減自分でやりなよぉ〜」
「一生のお願い!今日スタバ奢るから!ね?」
何度目かわからない一生のお願いに心の中で突っ込む
「いつもそれじゃ〜ん笑見せちゃうけど笑」
「やった!!!本当ありがと!持つべきは友達ね!」
朝の賑やかさにも慣れてきたな、私も…
ガラガラ…
「おはよー、ホームルーム始めんぞぉー」
机に伏せてた顔を少しあげ、前髪の隙間から周りをチラッと見る。いつもの光景が広がる、これが私の日常
変わりたい。私もみんなの輪に混ざりたい。
そんな思いを伏せながら今日も静かに息をする…
「ねぇ、私の為に死んでくれる?」
僕は微笑んで
「いいよ」と言った。
今でも目に焼き付いてる。彼女の姿。あの時ほど美しいと感じることはもうないかもしれない。
すぐに消えてしまいそうな世界で、彼女だけがはっきりと存在していた。そんな感覚。
「加藤さん、いつもお疲れ様です。」
名前を呼ばれてやっと、こちらに意識を戻した。
「…どうも。」
自分でも驚くほど無愛想だなっと考えながら、今の彼女に意識を向ける。
「私はこれで失礼しますね。」
顔が曖昧な看護師が病室を後にした。
目を開けることのない彼女と僕だけが、静かな病室に取り残される。2人だけの世界。
曖昧で不安定な世界で僕は彼女を愛し続ける。
そこに意味がなくていい。
僕が彼女を愛している。この事実だけでいい。
だって僕は愛という感情だけで、
一生をかけて彼女の為に死んでいくのだから。
僕はそっと彼女に呟く。
「どんな君も愛してるよ。また明日。」
この気持ちが届かないことを知っている。
貴方の声を聞いて。
貴方の匂いを感じて。
貴方の全部が欲しくなる。
夢を見てるのは知ってるの。
それでもいいと思えてしまう。
ぐちゃぐちゃの感情を隠して…
笑顔の仮面を被って…
今日もまた人混みに紛れている。
届かないことを知っていながら、叫び続ける。
愛している。誰よりも。何よりも。
今日も知らないフリをして生きていく。