薄く開いたカーテンの隙間から差し込む陽射しで目を覚ました。
冬の終わり、少し春めいてきた柔らかな陽射しだ。
ギラついた夏の太陽とは違って微睡みに引き戻されそうだ。
土曜日とはいえ寝すぎたな。
きのうは久しぶりに大学の同期と通話繋いで朝までオンラインゲーム。
学生の頃は誰かの家に集まって酒飲んで、据え置きゲームやったり一狩り行ったりボードゲームしたり、卒業直前に集まったときには『こうやってゲームで馬鹿騒ぎするのも最後かもな』なんてさみしそうに誰かが言ってたけど、社会人になった今でも全然遊べるじゃんね。
3試合目は白熱したな、チャンピオン逃したの悔しかったな、あのプレイ我ながら神がかってたな、あいつ腕上げたな、今度はまたオフでも集まりたいな。
きのうの楽しかった時間を反芻しながら、ふ、と自らの現実逃避を自嘲するように小さく笑った。
俺の部屋の窓、西向きなんだよなぁ。
冬のすっきりと抜けるような青空なのに、どこか物憂げな空。
息を吸い込むとツンと鼻の奥が痛む。
『次は新年会だね』『よいお年を〜』
まさかそれが最後だなんて思わないじゃん。
ああ、青空に君が昇ってく。
偶然拾った小さな命。尻尾の先だけが三毛になっている君。誰が捨てたんだか警戒心もなくにゃあにゃあ擦り寄ってくる人懐っこさ。
ぐんぐんあっという間に大きくなって、猫撫で声でごはんをねだって、膝に乗っては構ってアピール、家族はみんな君にメロメロ。
そうしていつしかおばあちゃんになって、お気に入りの出窓のあたたかな陽だまりで丸くなって寝てる時間が増えて。
社会人になって家を出ていた家族も帰省していた、みんなが揃った日に旅立っていったね。
うちに来てくれて本当にありがとう。
大好き。またね。
I love you!は気軽に言えちゃうのに、愛してるは気恥ずかしくなっちゃうのなんでだろうね。
春の太陽は柔らかなあたたかさですっぽり包み込むよう。嫌味のない浮足立つような陽射しで、自然と外にエスコートしてくれる。
夏の太陽は元気いっぱいぎらぎら照りつけて、湿っぽさもなんのその。あっという間にカラッと吹き飛ばせるエネルギーが魅力的。
秋の太陽は抜けるような秋晴れと、少しさみしさの滲む夕暮れとのコントラストの演出が印象的。穏やかなムード作りはぴかいち。
冬の太陽はとにかく会いたい。控えめに雲間から覗くぐらいじゃ嫌、どこにも行かないで、ずっとずっとそこにいて。
ね、今言ってくれた「太陽みたいなとこが好き」ってどういうニュアンス?
僕は君にとってどんな太陽?