方位磁針が必要です
行き方を導く
方位磁針が必要です
往くべき道が
分かりません
分岐している道の中
どの方向へ進むのか
分かりません
懐中電灯が必要です
足元を照らす
懐中電灯が必要です
床が有るかが
分かりません
闇に包まれた道の中
どこに穴があるのか
分かりません
此処は私の中にある
心の迷路
迷路を作った私にも
謎まみれの迷路です
題材【心の迷路】より
水面に紅茶の葉を浮かべてみる。
私が机に顎を着いて、浮かんだ葉を観察していると、葉はティーカップの縁までふよふよと泳いで、止まった。
水面に、私の顔がうつる。...紅茶の湯気で眼鏡が曇っている。眼鏡を取ると、憂鬱な顔をした私が映っていた。髪の毛がボサボサだ。嫌になる。
「あ〜〜〜。」言葉にならない声を出す。ため息をついて、椅子から立ち上がった。
机の上に丸く散りばめられたティーカップには、それぞれ違う量の紅茶が入っている。色とりどりのそれが、沢山の音色を奏でた。
ティーカップに施された色、装飾。そして奏でる音までもが、カップに包まれた紅茶に溶け込み、独自の味を創っていた。
私はその中の、夜空の色に塗りつぶされたティーカップに目をやった。先程葉を浮かべたティーカップだ。中の紅茶は、先程の私の影がどう映っていたのかを思い出せない程に、カップの黒色で塗りつぶされていた。葉は、未だに黒い水面に反発するかのように、水面の端をぐるぐる回っている。
私は銀色のスプーンで葉を救出して、今度は金色に輝くティーカップに入れた。そしてスプーンを置き、机から離れる。ドアにかけられた鐘が、レトロな音を立てた。
金色のティーカップでは、窓から差し込んだ陽の光が反射して黄金に輝く水面の真ん中に、葉がバランスよく浮かんでいた。
題材【ティーカップ】より
寂しくて。
寂しくて。
こんなにも、寂しくて。
寒い冬の空の下
私を温めてくれる人は
誰も居ない
凍えてしまいそうです。
身を縮めた私の小さな震えに
気付いてくれる人は誰も居ない
寒いよ、寒い。
落ちた涙が凍って
私の心に音を立てて落ちた
放り出された私の熱は
冷えた空気に霧散して行く
題材【寂しくて】より
多分そんな物は
ないのでせうが
偶に思つているのです
心には線が引かれていると
そして聞こえるのです
貴方が心に線を引いた音が
貴方は自身の心の
入口を開け放って
侵入者を見ている
試しているのでせう?
私が何処まで行けるのかを
そして願うのでせう?
今日こそ私が辿り着く事を
なら、貴方の心のあちら側
という物に行ってやろうと
意気込んで足を踏み入れた
私を
貴方はどうして笑っている
否、貴方はどうして嘲笑う
黒色の水彩絵の具で
真っ直ぐな線が引かれた
黒く滲んだ向こう側に
貴方の弧を描いた唇に
反射で輝いている何か
が
流れ落ちるのを、ふと
見た気がした
題材【心の境界線】より
空が青い
澄んだ空を見上げ
彼女は背中を丸めた
透明な空気
冷えた空気を吸い込み
彼女は膝を曲げさせる
彼女を地面へ捉えるもの
そんな物は
捨ててしまいませう
抜け出してしまいせう
あの天空の方がよつぽど
ここより綺麗だろうから
澄んだ青
流れる風に乗って
彼女の羽がはためいた
冷たい透明
天空の煌めきに
彼女の羽が舞い踊る
その羽は透明な青
天空と同じ色
羽と共に彼女は
天空へと向かって
ふわりゆらり
消えていった....。
題材【透明な羽】より