星、夜に光る星

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水面に紅茶の葉を浮かべてみる。
私が机に顎を着いて、浮かんだ葉を観察していると、葉はティーカップの縁までふよふよと泳いで、止まった。
水面に、私の顔がうつる。...紅茶の湯気で眼鏡が曇っている。眼鏡を取ると、憂鬱な顔をした私が映っていた。髪の毛がボサボサだ。嫌になる。
「あ〜〜〜。」言葉にならない声を出す。ため息をついて、椅子から立ち上がった。
机の上に丸く散りばめられたティーカップには、それぞれ違う量の紅茶が入っている。色とりどりのそれが、沢山の音色を奏でた。
ティーカップに施された色、装飾。そして奏でる音までもが、カップに包まれた紅茶に溶け込み、独自の味を創っていた。
私はその中の、夜空の色に塗りつぶされたティーカップに目をやった。先程葉を浮かべたティーカップだ。中の紅茶は、先程の私の影がどう映っていたのかを思い出せない程に、カップの黒色で塗りつぶされていた。葉は、未だに黒い水面に反発するかのように、水面の端をぐるぐる回っている。
私は銀色のスプーンで葉を救出して、今度は金色に輝くティーカップに入れた。そしてスプーンを置き、机から離れる。ドアにかけられた鐘が、レトロな音を立てた。
金色のティーカップでは、窓から差し込んだ陽の光が反射して黄金に輝く水面の真ん中に、葉がバランスよく浮かんでいた。



題材【ティーカップ】より

11/11/2025, 10:06:53 PM