荒れ果てた庭園。お祖母様がまだご健在だった頃は、この庭はよく手入れされ、今の季節には薔薇が美しく咲き誇っていたものだが、今や見る影もない。片田舎の領主である我が家の財政は傾き、庭師を雇うこともできなくなったのだ。
かつての美しい庭園から見上げた空は爽やかで輝かしくて心躍る蒼色だったのに、今、空はこんなにも遠くくすんで見える。
現状から抜け出したい。でも、貧乏貴族の次女である私には、自らの力でこの現状を打破することは難しい。
閉じられた世界の中で、ただ遠い空を見上げ、今はもう届かぬ輝かしい過去に想いを馳せることしかできないのだ。
子供の頃の夢が叶った大人ってどれくらいいるんだろうな。
俺は、小さい頃から「あなたの夢は?」ってきかれると困ってしまうタイプだった。だって、夢なんかないんだ。何になりたいとか、誰かに憧れてるとか、そういうの全然なかった。
作文のテーマで「将来の夢」なんて出された日には、頭を抱えて苦しんだ。そもそも作文も得意じゃないのに、俺の中に答えのないことを書けだなんて、苦行にも程がある。
そんな俺だから、何となく高校に進学して何となく大学に行って、何となく留年して何となく退学して、今はフリーターになった。
我ながら夢のない人生だ。けどまあ、意外と悪くはない。
子供の頃に夢がなくたって、いつまでも夢が持てなくたって、趣味で充実してるし、毎日は結構楽しい。
子供の頃の夢が叶ったやつも、そうじゃないやつも、結局今を楽しんでんのが一番だと、俺は思う。
どこにも行かないで 後日書きます
君の背中を追って 後日書きます
好き、嫌い、好き、嫌い……
花占いなんて、こどもっぽいってあなたは笑う?
あなたのきもちが知りたくて、でも、面と向かうとうまくお話しできないから、こうしてお花にきくしかないの。
最後の一片、その答えは「好き」だった。
本当にそうならいいなあ。今度はもっと勇気出してお話してみようかなあ。
胸をあなたへの想いでいっぱいにして、今日も一喜一憂。
あなたがわたしを好きでもそうじゃなくても、わたしがあなたを好きだってこと、きっといつか伝えたい。
その瞬間を思い描いて、胸をキュッと握りしめた。