荒れ果てた庭園。お祖母様がまだご健在だった頃は、この庭はよく手入れされ、今の季節には薔薇が美しく咲き誇っていたものだが、今や見る影もない。片田舎の領主である我が家の財政は傾き、庭師を雇うこともできなくなったのだ。
かつての美しい庭園から見上げた空は爽やかで輝かしくて心躍る蒼色だったのに、今、空はこんなにも遠くくすんで見える。
現状から抜け出したい。でも、貧乏貴族の次女である私には、自らの力でこの現状を打破することは難しい。
閉じられた世界の中で、ただ遠い空を見上げ、今はもう届かぬ輝かしい過去に想いを馳せることしかできないのだ。
6/25/2025, 9:21:21 AM