〝大切なもの〟

身体のことには、気を付けているつもりだった。
なのに、心の方は考えていなかった。
少しずつ身体が重くなっていって、
息ができなくなっていた。
大切なものは、必ずしも目に見えるとも限らない。

〝エイプリルフール〟

最近は異常気象が過ぎるよね。
冬なのに暑かったり、雨ばっかしだったり。
神様なりの、エイプリルフールの冗談ってことかな？

〝何気ないふり〟

突然、きょどりながら彼は聞いてきた。
「そ、そういえばさ、なんか好きなお菓子とかある？」
思わず固まってしまった。
きょどっているし、突然すぎる。
なにか企んでいるのかと思ったが、
そういえば一週間後は私の誕生日だ。
なるほど覚えてくれていたのか。
「うんっとねー」
何気ないふりをして、考える素振りをする。
顔の赤さが消えるまで、彼の方は向けないや。

〝幸せに〟

ずっと一緒にいたくても、そんなことは出来ない。
私が幸せにしたかった人も、私の手を離れ、
勝手に幸せになっていった。
勝手に幸せになって、私のことも忘れてね。
それが、今の私の願い。


〝何気ないそぶり〟
別にわざとらしく笑みを浮かべる訳でもなく、
スッと立ち、自然と席を譲る。
何気ないそぶりで、当たり前のことをする。
そんなあなたの姿に、憧れていた。
まだわざとらしいかもしれないが、
これが何気ない当たり前のものになるように、
私は今日も笑みを浮かべる。

〝ハッピーエンド〟

ついに悪を打ち倒し、物語はクライマックスを迎える。
帰ってきた勇者は私の手を握り求婚する…はずだった。
なのに、何故姉の手を握っているの？
努力して努力して、姉を超えて、王女になったのに。
姉よりも頑張ってきたのに。
勇者と王女が結婚してハッピーエンドでしょ？
ねえ、そんな嬉しそうな顔しないでよ。