〝こんな夢を見た〟
公園のベンチに唯一人、ぼうっと空を眺める。
今日はまだ子どもたちも来ていない。
程良い静寂が私を包み込んでいる。
そんな憩いの中で、
こちらに向かって誰かが歩いて来た。
見知らぬ女子高生は、ずけずけと私の隣に座る。
ベンチはまだあるというのに、隣に来るとは…。
席を立とうとしたその時、
何故か女子高生が話しかけて来た。
「あの、ちょっといいですか?」
「…私、ですか?」
「はい!ちょっと止まっててくださいね」
彼女が私の顔をのぞき込んでくる。
すると、少し満足げな顔をして聞いてきた。
「…今日ってどんな夢を見たか覚えてます?」
「すいません、よく覚えてないんですけど」
「そうですか。
実はですね、その、私、今日こんな夢を見たんですよ。この公園で、あなたとお茶する夢。
よくは覚えてないんですけど、
楽しかったな〜っていうのだけ覚えてて、
それでここに来てみたら、あなたがいたんです。
良かったら、お話できないかな、なんて。」
夢のことでこんなにグイグイ来るとは、驚きだ。
珍しい物見たさもあって、OKしてみる。
話してみると、以外に話もあって、なかなか楽しい。
素敵な夢もあるものだ。
〝タイムマシーン〟
もしタイムマシーンがあったなら、
もう一度同じ人生を生きる。
そう思えるように生きていきたい。
〝特別な夜〟
家族が寝静まったのを確認し、そっと布団から出る。
起きませんように、と願いながら、
上着を羽織って靴を履く。
ドアを開けた時、キィっと音がなったけれど、
誰も気が付かなかったようだ。
やっとの事で外に出て、空を見上げる。
「…ほぅ」
思わず変な声を漏らしてしまう。
でも、そのくらい仕方が無いと思う。
なんたって、今日は流星群。
美しい、特別な夜。
〝海の底〟
海の底で、ずっと陸に憧れていた。
キラキラと輝く世界なら、何かが変わる気がした。
やっと陸に出られた時は、正直驚いた。
輝く世界でも、住んでいる者たちの顔は暗かったから。
今、夢から覚めたこの顔も、
あの者たちと同じ顔なのだろうか。
〝君に会いたくて〟
君に会いたくて、行く宛もなく街を走った。
だけど、何処に行っても君の姿は見えなくて、
涙を流しながらまた走った。
やっと君に会えた時、君は驚いた顔をしながら、
そっと涙を拭いてくれた。
些細なことで喧嘩してごめん。
手を繋いで、また一緒に帰ってくれる?