中3の仙陽

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10/19/2023, 2:15:02 PM


すれ違い。

彼とは仲良くやっていたつもりだった。
どれくらいって、それはもう言葉では表せられないくらい。

毎日会っていたほどで、その度に手を繋いで街を歩いた。
本当に、彼と過ごす毎日が輝かしかった。本当に。





最後に会ったのっていつだっけ。
もう全然会ってないな。というお互い予定が一切合わない日々が長く続いた。

会えないのはすごく辛いけど、それはお互い様だった訳だしなんとか堪えていた。

そんな日々の中、私たちは偶然、お互いの積み重なった予定で隙間を見つけたのだ。
それはもう嬉しくて嬉しくて、その日には二人だけの予定を入れた。

前日の夜、ワクワクが止まらず、ずっと想像を繰り広げていた。

明日の服はどうしよう。
久しぶりの挨拶は何を言おう。
どこに行こう。
やっぱり思い出の場所かな。
それとも新しい場所で気分転換すべきかな。

なんて。




当日、私に仕事関係の急な用事が入ってきた。
頭の中が真っ白になった。
困惑で頭が回らなかったけど、早めに彼には伝えておくべきだと思って、メールを送った。

既読がついて30分、彼からやっと返信が返ってきた。



「お前マジでないわ。」



その後仕事には当然一ミリも集中出来なかった。

そこで私たちはすれ違ったのだった。





そんな日から約5ヶ月。

今日はクリスマス。
もし、あの頃の彼が今も隣にいたならば、きっと今日はこんなに寒くなかったはずだなぁって。
震える手を擦り合わせて暖を取る。

あれ以来どれだけメールを送っても既読がつくことはなかった。
もうブロックされたのかな。
あの時取り憑かれたように依存していたのが今になってはバカに思ってしまえるほど、私は冷めていた。

でも、心のどこかでは、まだきっと彼のことが諦められていない気がした。
だって、心の穴は未だに埋まっていなかったから。



「あっはは、…は……いな!」



前から懐かしい声が響いた。
心の穴に、その声がすっぽりハマった。
彼だ。

急いで顔を上げると、そこには大好きな彼がいた。

知らない女性と一緒に。



崩れ落ちそうになった膝に力を入れて、なんとかふらっとしたのを耐える。



そっか、もう終わったんだ。



彼と女性は向こう側から歩いてくる。
それと反対に、私はその場に立ち止まったままでいた。

彼の声を聞くのは、きっとこれが最後だろうな。

そんな気持ちに胸を締め付けられた。
そうして、私は楽しそうにしている彼らと最後にすれ違ったのだった。

10/18/2023, 3:24:26 PM

秋晴れ。

かなり最近に知った単語で、未だに使い所は曖昧だが、それはおそらく今日みたいな日のことを言うのだろう。
そう、直感で思った。

朝八時。
私は学生なため、平日である今日も学校へと向かっていた。

ふと、空を見上げると、白色なんて見当たらないような、何ともくっつかないような澄んだ青色が広がっていて、私を何も考えさせなくした。

なんとなく深呼吸がしたくなって、息をひとつ、深く、深く吸い込んだ。

ひんやりとした空気が肺を出入りした。

直後に鼻がツンとする。
そうか、秋から冬とは、これから乾燥し始めるんだ。
毎回同じようにやってくることなのに、毎回まるで初めてのように驚かされる。

去年の今頃をまるで懐かしむように記憶の引き出しから取り出す。

そんなひと時も、遠目に聞こえてくる学校のチャイムに打ち消された。
あ。
もうすぐ着くのか。

うーん、部屋に加湿器ってまだ置いてたっけ。と呑気に呟いている自分は、今日もおそらく充実するであろう一日を過ごそうとしていた。