たった1つの希望
もう一度、子供達と手を繋いで歩けるようになること。
それが出来たら、もう次の日に目を覚まさなくても良い。
今年の秋、その願いが叶うはず。
遠くの街へ
人生を終わらせたくて旅に出たことがある。
北の海は荒々しく、お前は生きるのだと私を拒む。
南の海は透明で、お前が隠れる場所はないと拒む。
夜の砂浜、夜の森。何も怖いものなど無かった。
今、私は生きている。
捨て身になったからこそ自然のエネルギーを産まれて初めて感じ取れた。
ポケットの中には帰るお金も残っていなかったけれど、不安を感じることもない。 何も持たない幸せを噛み締めながら、ただ、ひたすら歩き続けた。
「お姉ちゃんは、明日から外国で1ヶ月だけ御勉強して来るね」
「帰ってきたら、次は棒編みを教えてあげる」
「お姉ちゃんの部屋の本も漫画も全部、好きな時に読んで良いよ」
あれから半世紀…外国のホテルに荷物を置いたまま、お姉ちゃんは未だに帰って来ない。 何があったの? あなたは今、何処に居るの?
過去に想いを馳せ、未来に不安を抱く。
一喜一憂に疲れながらも、一喜一憂を待ち望む。
時にはゆっくりと、時には猛スピードで 物憂げな空は人生そのもの。
私の母は自己愛が強過ぎて、私から全てを奪おうとする。
彼女の嘘は巧妙で、私の友人関係、兄弟、終いには父親に至る迄、私が積み上げてきた全ての信頼関係を破壊した。もう、0から人間関係を築く気力はない。
人は失望には耐えられるけれど、絶望には耐えられないんだよ。お母さん。
貴女が好きなものを食べて、楽しそうに笑っていた影で、私は泣いていた。
それでも私にとっては世界でたった1人の母親。
親戚一同から冷たい娘だと言われても良い。 貴女の葬儀に私はいません。
本音はお母さんを赦したい娘より。 (トラウマ)