【バレンタイン】
小学生4年生のバレンタイン、1度だけ2歳からの幼馴染みに渡したことがあるのを鮮明に覚えている。
小学校時代お菓子作りにハマっていた私は、所謂「平成女児チョコ」ではなく1から生チョコを作ったり、リキュール入りのダイスチョコを作ったり、紅茶のパウンドケーキを焼いたりと、バレンタインで無双しまくっていた。バレンタインの時期に恋した経験がまだ無かったため、友達に配り歩いて同性からの支持を総ナメしていたからだ。
しかしその年、2歳からの関係である幼馴染みの男の子に今まで1度もバレンタインをあげたことが無いことに気が付いた。幼馴染みはその前の年にひいおばあちゃんが亡くなってしまったため年賀状のやり取りが出来なかった。なら年も明けたことだし年賀状の代わりにバレンタインチョコを作って渡そうと決め、生チョコとバナナマフィンを作った。徒歩10分圏内の幼馴染みの家に行き、実際に渡した時は特にリアクションは貰えなかったものの、翌月のお返しが約10000円相当のお高いミニタルトの詰め合わせだった。これだけはずっと覚えている。
【どこにも書けないこと】
彼氏と別れたい。理由は以下の通り。
①会話するとき、自分のコミュニティにいる女の子達の話から始まり「女の子達がエロい」しか話してこない。
②毎日セクハラメールを3時間ほどかけて送ってくる。
③最早ただの体目的。
④上記のことで辞めて欲しいと言ってもヘラヘラ聞き流して辞めない。
【1000年先も】
※【勿忘草】の外伝になります。
【勿忘草】を読んでいなくても楽しめますが、読んだ方がおそらく内容理解がスムーズに進むと思います。
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No matter how many times you forget me, I will never forget you.
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Next time we meet, I want you to go back to the way you were before you forgot me.
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ほんの些細なことだった。
彼女に健忘症と記憶喪失が重なったことで実質的な別れを告げた。
辛くて苦しくて人間を辞めかけたが、一縷の望みと彼女の幸せを願って、日々生き地獄を過ごしてきた。
だからこそ認めたくなかった。
奇しくも勿忘草の群生地にある細道で再会するなんて思いもしなかったしな。
彼女は彼女ではなかった。
顔も声も全部、俺の知るあの彼女と同一、なのに目の前にいる彼女を見て俺の脳ミソはNOと信号を出し続けた。
何も知らない彼女に俺はつっけんどんな態度を取って彼女が来た道を辿っていった。罪悪感はもうとっくに突き放した。贖う相手なんかいないしな。
嗚呼、でもやっぱり
ずっと俺のそばにいてほしい
1000年先も覚えていてほしい
来世とやらが実在するならな。
【1000年先も】
【勿忘草】
病的なまでに忘れっぽい性格で昔から色んな人に嫌味を言われきたが、一つだけ鮮明に覚えている事がある。
その日、草原の一本道で男の人とぶつかった。
すみません、と咄嗟に謝ったが、その男の人は私の顔を見るなり、有り得ない!とでも言いたそうな、驚いた表情を浮かべ、こちらも驚いた。
知らない人であるはずなのに、何故か懐かしさで心臓がむずむずと痒くなった。その痒みから逃れたいのか、はたまた無意識的な別の理由からか、その人に声をかけた。
しかし、その人は私が微塵も思っても見ない一言を放った。
ピストルで撃たれたような衝撃だった。今までの人生で一度も体験したことのない、上手く言葉に変換出来ない摩訶不思議な感覚に包まれる内に?その人は私が歩いてきた道をスタスタと行ってしまった。
残念ながら、失うことに慣れちまったお前には用が無ぇんだわ。
その日以降、彼には一度も会えた事はない。忘れっぽい性格も変わることなく、なんでも忘れる。
けれど、そう言った彼の事だけは今でも忘れようにも忘れられなくて、ずっと苦しい。
【勿忘草】
【安心と不安】
こんな高所から失礼、皆さん初めまして。僕の名前はワタル。
突然だが、今の僕のこの状態を「焦り」またの名を「不安」と称させて欲しい。
カチ、カチ、カチ…
あ、聞こえるかな?今この空間は、無機質な針の音が支配している。まるで僕の心境を物語っているような感じがしないか?
え?何を言ってるのか分からない?
それは僕自身も少し思っているよ。けど許しておくれ、僕がこんな風になっているのもちゃんとした理由があるんだ。
僕には愛しい人がいる。
ハルミちゃんという可愛らしい女性でね、僕はそのハルミちゃんと同じ屋根の下で共に暮らしているのだけれど、この不安の種はハルミちゃんの事なんだ。
もうかれこれ3年近く一緒に暮らしているんだが、ここ最近ハルミちゃんの帰りが遅いんだ。今までは、どんなに遅くても日付けが変わる前には必ず家に帰ってきていたのに、ここ数日じゃ日付けを超えてから帰ってくる生活が続いているんだ。朝だって早く起きて仕事に行くから、生活リズムも乱れてきて僕とのコミュニケーションも録に取れやしないし…って、僕のことはどうでもいいんだ、うん。
僕、ハルミちゃんの体が心配なんだ。
隈も酷くてどんどん顔が窶れてきている。僕自身がハルミちゃんのケアとかしたいんだけど、どうも出来なくって…とても不甲斐ないんだ。惨めな気持ちになってしまう。
僕がネガティブになってどうするんだって思うのに、ハルミちゃんの事を考えれば考える程不安になる。
なんだが、「早く帰ってきて欲しい」という思いだけじゃなくなってきた。「安心したいし、されたい」に変わってきている気がするんだ。
ほら、今日だってもう終わってしまう。あと3分で
ガチャ
あっ!!この音もしかして…!?
ハルミちゃん!?
「ただいまぁワタちゃん」
にゃ~お!
なんてこった、今日は日付けを超える前に帰ってきたよ!!ちょっぴり安心したけど、やっぱりハルミちゃんの顔はまだ良くないな…
あ、皆さん話を聞いてくれてありがとう。皆さんに話したらなんだかスッキリしたよ。
ハルミちゃんが元気になれるよう、今僕に出来る事を頑張ろうと思うよ。
【安心と不安】