心の打火
幼馴染のあいつとは似てるところが多くて、競うとどっちが勝つかわからないから、それが楽しくて自分は事あるごとに勝負を仕掛けた。
「テストの点数高いほうが勝ちゲームしようぜ、今日テスト返しの日だし」
「いいよ。いいけど、俺今回のテスト勉強してないよ」
「うわ、絶対うそ!自信あるだろ!どうせ勉強してないやつに負けたって煽るつもりだろ!」
結果は言ってた通り、あいつに負けた。帰り道。
「手応えあったのになあ」
「お前、勉強してないやつに負けてやんの。」
「うるせー。あ、道路の白線しか歩いちゃいけないゲームしようぜ」
「いいよ。押して白線から出すのありね。オレ、いい点数とって運たまってるから、負ける気しないわ。」
なんだかんだ言うけど、あいつはいつも勝負を受けてくれる、ライバルみたいなやつ。今日も自分は勝負を仕掛ける。勝ちたい、心の中でいつもそう思う、心の打火が鳴る。
〔小さいけど、燃えるような勝負を友達とよくしていました。罰ゲームがあるとよりいい勝負ができるんですよね。懐かし〜。この独特なネーミングセンス、小学生特有だと思ってます。私だけかな。匿名いやほんの自我失礼しました。あの頃に戻りたくなります。〕
開けないLINE
学校で流行っていたチェーンメール。スマホを買ってもらったばっかりだったけど、仲良しな友達から信じないほうがいいって何回も聞かされたから、チェーンメールがきても適当に返信してた。
スマホがあると強くなったみたいで、全然話さないクラスメイトとも仲良くなれそうだから、たくさんの人とLINEを交換したりしてた。
宿題が終わったから、夕食前にスマホをいじってた。
〔1件のメッセージ〕
通知がくると、反射ですぐ見てしまう。
〔このメールを12時間以内に20人に回さないかったら、後悔するよ。〕
チェーンメールってだいたい長文でくるから、文が短くてちょっと驚いた。やっぱり、全然話さない人からはこういうのがよくくるのか。
「後悔って、書くなら具体的なほうがいいでしょ。」
〔後悔って何?笑 急にきたからびっくりした〜〕
〔急じゃない、早く回せ。後悔する。ほんとに。〕
〔えー、わかった〕
本当はわかってない。友達に回すつもりなんてないけど、高圧的なのが怖かったから、会話を早く終わらせたかった。人に嫌われるのはいやだから、ブロックとかミュートはしたくなかった。
〔1件のメッセージ〕
〔2件のメッセージ〕
〔…件のメッセージ〕
さっきのクラスメイトから。だんだん増えてく通知がすごく怖かった。ネット初心者で、悪口言われたら立ち直れそうにない。これをみたほうが後悔すると思った。でも無視したのが広まって、友達からハブられる気がした。焦りが判断を鈍らせて、どうしても、LINEが開けなかった。