箱庭メリィ

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5/17/2023, 6:08:02 PM

昼の音をすべて吸いきってしまったような空
それぞれの音が小さく囁くように瞬いている

「ただいま」
「おはよう」
「今日もおつかれさま」
「明日ね、遠足があるんだ」
「わたしのパジャマ知らない?」
「いってらっしゃい」
「昨日の話考えてくれた?」

吸い上げた音をチカチカと静かに
君だけにわかるようにささやく

「ぼくはここだよ」

ささやかなざわめきにまぎれて
かすかな光を放ち続ける

(きみが見つけてくれるまで)


/『真夜中』

5/16/2023, 5:27:34 PM


愛があれば、何でもできる

たとえ崖から飛び降りろと
君に言われたって
喜んで飛んでみせるよ

もちろん死ぬことだって
君のためなら怖くない

愛があってもできないことは
たったひとつくらいではないかな?

来世もまた、君のそばに生まれ変わると
約束すること


/『愛があれば何でもできる?』




あの時ああしていれば――
後悔はたくさんある

私の中で今でも燻っていることは
あの時相手を殴らなかったこと

殴ってさえいれば
泣き寝入りすることも
その後もやもやが続くこともなかったのに

理不尽に負けてもやもやするくらいなら、
殴ってスッキリしたほうがいいよね?


/『後悔』5/15



隔てるものが何もない屋上は
青い空がよく映える

眼下に広がる町並みは
今日も大して変わらない風景が流れている

そう、変わらない
何も変わらないのだ

だから自分自身が変わることにした

邪魔をするものはなにもない
あとは、風に身を任せて
この何もない景色に一石を投じるだけ


/『風に身をまかせ』 5/14

5/13/2023, 5:15:47 PM

ゆっくり
ずっと読めていなかった本を読みたい

あたたかな日差しがさす窓辺で

お気に入りのオレンジティーと
アールグレイのクッキーをかたわらに


/『おうち時間でやりたいこと』



あまいあまいチョコレート

食べると苦く感じてしまうなら

わたしは子どものままがいい


/05/12 『子どものままで』



あなたのことが大事だから
私は私を犠牲にしてまでも
尽くしてきたというのに。

あなたはそんなこと微塵も
気にすることはなく、
気がつくこともなく、
ただ厚意に甘えていた

私が甘やかしていたのだから
私が気づかせないようにしていたのだから
まさかそこまで尽くしているとは
思っていないだろう

だんだんと、それが当たり前になって
あなたはそれを当然のことだと受け入れ
甘やかしがワガママを冗長させた。

その頃にはもう
後戻りすることは出来ず、
私が唯一の望みを伝えると
あなたは困惑し私を訝しんだ
「当たり前」が崩れた瞬間だった。

これも愛の形
長年かけてひび割れを見過ごしていた
私自身への罰

私はあなたが幸せであれば
少しでもあなたの邪魔に
負担になるものを減らせたら
それでよかった

感謝されこそすれ
ひとつの望みで僻まれるとは
思いもよらなかった

あなたをすきなだけだったのに


/5/11 『愛を叫ぶ。』

5/10/2023, 6:06:29 PM

あなたはわたしを守らなくてはいけない

窮屈でないようにやわらかなベッドに寝かせて
たっぷりの栄養とキレイな水を浴びせて
この美しい体を保たせなければならない

そうして緑の騎士に守られた姫は
硬く閉ざされた部屋の扉を開けて
空高く羽ばたいていくの

真っ白なドレスをはためかせながら


/『モンシロチョウ』

5/9/2023, 5:02:57 PM

あなたがあの時、気軽に言った言葉

心に残って消えないの

忘れられない、いつまでも……。


/『忘れられない、いつまでも。』




一ヶ月先、なんなら三日先でさえ未来は分からないのに、一年後なんて思い描けるだろうか。

今まで思い描いた一年後なんて、自分の理想の高さに落ち込んでいたものだ。
簡単なことすら、結果的に自分を裏切ってしまうこともある。

誇りなんて殊勝なもの持ってなくてもいい。

一年後も、せめて、明日も生きられると思える自分でありますように。

/『一年後』




“それ”が“そう”だと気づいたのは、10年後だった

感情がこんなに入り乱れるのに
姿を見るだけで幸せになる

あの時は恋なんて知らなかった


誰かと結婚して、子どもの代わりに
あの世へ行ったと聞いた

もう会えない
どこかで生きているという希望も持てない

存在を失くしたことで気づいた
あれは恋をしていたのだと

恋だと分かっていたのなら
自分のものにすることもできたのに


/『初恋の日』

3日文まとめ上げPart2

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