卵を割らなければ

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3/9/2025, 4:34:31 PM

嗚呼

雪が降っていた。私はひとり雪景色のなかにたたずんでいた。
ついさっきまで誰かがそばにいたような気がしたが、誰もいない。足跡がうっすらと残っている。
――嗚呼、なんと美しい景色だろう。白い。見渡す限りの全てが白い。
静かに雪が降り積もる。

やがて辺りは暗くなり、そしてまた明るくなった。雪は降り続いている。私は相変わらずひとり雪景色のなかにいる。
いつからこうしているのだろう。わからない。ただ白く美しい雪を眺めていられれば、それでいいような気がしている。
――嗚呼、満ち足りている。

太陽がまぶしい。
雪は日の光にきらめいて輝いている。暖かく優しい風が私を包んでいる。溶けていく。全てが。
――嗚呼、永遠に続く命と思っていた。儚くも消える定めとはつゆ知らず。


村の子どもはふと思い出し、幾日か前に作った雪達磨を見に行ったが、まわりの雪と同様、溶けてなくなっていたので少しがっかりした。遠くで仲間の呼ぶ声がして、子どもはぱっと駆けだしてゆく。村はもうじき春を迎える。

3/8/2025, 11:35:28 AM

秘密の場所

ひ 密かな楽しみは

み 蜜のように甘く

つ 罪だとわかっているのに

の のぞいてしまう

ば 罰は受けた 太ってしまった

し しかたがない 帰り道

よ 洋菓子店の甘い誘惑

3/7/2025, 11:37:34 AM

ラララ

クーポンで 買った春色 刺しゅう糸
ラララ♪私は ラッキーガール

3/6/2025, 1:57:13 PM

風が運ぶもの

か 風が吹いた

ぜ 「全員飛びたちなさい!

が がんばるのよ!」

は 母の声

こ 子どもたちは
 「はーい」と元気に返事した

ぶ 無事にみんな旅立ったわね

も もっと遠くへ行きたいと

の ノラネコの背中に飛びのった
  綿毛だった日のことを
  母は思い出していた

3/5/2025, 11:25:43 AM

question

ク 車椅子で病室に戻る途中の廊下で
  外国人から尋ねられた

エ 「Excuse me.
  I want to go back to room 404
  on the fourth floor.」

ス 「すみません
   英語わからないです」

チ 「ちょっとお聞き死体のdeath

ヨ 4階の404号室に戻りたいのdeath」

ン ん?4階?ここは5階だから
  階段を降りればいいんだ。
  階段はステップだっけ?
  「ステップダウンゴー」
  あ、やっぱり通じないか。
  あれ?でも4階なんてあったかな? 
  それに404号室って。
  あれ?あの人どこ行った?消えた?

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