小さな勇気
ち 小さな勇気が
い いるときってあるよね
さ さあ 今だよ!
な 何もせずにすませるのかい?
ゆ 許せなくなるのは嫌だ 自分を
う 嘘はつきたくないんだ 自分に
き 君にもそんなときがあるのかな
わぁ!
※※※
蒸し器で蒸すよ イモムシパン
あけたらだめだよ 15分
蒸してるあいだは 無視してて
お腹の音が グーグーグー
キッチンタイマー ピピピピピ
よしできた!
さあフタを あけてみよう
わぁ!ふくらんだ イモムシパン
わぁ!うれしいな イモムシパン
わぁ!おいしそう イモムシパン
イモ虫パンは おいしいね
てまひまかけると おいしいね
またイモ虫を つかまえよう
今度のおやつは なにつくる?
今度はこねて イモ虫まんじゅう
――S子著「小鳥の歌」p.64 小鳥の食卓より
※※※
【著者あとがきより抜粋】
"私はある朝、小鳥のさえずりが意味のある言葉に聞こえた。心をしずめ、耳をすます。すると鳥たちは、実にさまざまなことを歌っていた。これは、私が10年にわたり書きとめた小鳥たちの言葉の記録である。"
※※※
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終わらない物語
オムレツを作ろうと冷蔵庫にひとつだけ残っていた卵を割ったら、中からヒヨコがでてきた。
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私は卵を拾った。しかたない。この産みたての卵を使うか。
私は気を取り直して、再びオムレツを作ろうと卵を割った。すると中からヒヨコがでてきた。またか!
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私は卵を拾った。なんということか。他に卵はないし、この産みたて卵を使う以外、選択肢はない。
えいっ、三度目の正直だ。今度こそオムレツを作るべく卵を割ったら、またもや中からヒヨコがでてきた。ピヨピヨ!
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私はあぜんとして卵を拾った。
それから何回卵を割ったことだろう。窓の外、庭は数えきれないほどの鶏でいっぱいだ。
もはやヒヨコしか出てこないのかもしれない。けれど次の1個はふつうの卵かもしれないし。そう思うと、ここで終わりにはできなかった。
いったい、私はいつになったらオムレツにありつけるのだろう。いいかげんお腹がすいた。
やさしい嘘
スープには
や さ し い う そ
が溶けていて
や さ い
をすくって
おいしいと言う
瞳をとじて
はい。おやすみなさい。