終わらない物語
オムレツを作ろうと冷蔵庫にひとつだけ残っていた卵を割ったら、中からヒヨコがでてきた。
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私は卵を拾った。しかたない。この産みたての卵を使うか。
私は気を取り直して、再びオムレツを作ろうと卵を割った。すると中からヒヨコがでてきた。またか!
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私は卵を拾った。なんということか。他に卵はないし、この産みたて卵を使う以外、選択肢はない。
えいっ、三度目の正直だ。今度こそオムレツを作るべく卵を割ったら、またもや中からヒヨコがでてきた。ピヨピヨ!
ヒヨコはみるみるうちに成長して鶏になってしまった。コケコッコーと元気よく鳴くと、卵を産み、窓から庭へと飛び出していった。
私はあぜんとして卵を拾った。
それから何回卵を割ったことだろう。窓の外、庭は数えきれないほどの鶏でいっぱいだ。
もはやヒヨコしか出てこないのかもしれない。けれど次の1個はふつうの卵かもしれないし。そう思うと、ここで終わりにはできなかった。
いったい、私はいつになったらオムレツにありつけるのだろう。いいかげんお腹がすいた。
1/25/2025, 2:10:30 PM