エリンギ

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3/7/2025, 6:23:23 AM

【風が運ぶもの】

「かぜ、ぶ…風部?」
ひんやりとした空気が満ちる北校舎3階。2階から聞こえる吹奏楽の音色を聴きながら、私は消え掛かった文字を読んだ。
立て付けが明らかに悪そうな扉に、確かに「風部」と書いてある。丁寧に振り仮名付きだ。
入りたい部活は特にない。運動部だけは絶対嫌だと同じ学校に通っていた姉に相談すると、北校舎の3、4階は個性的だよと教えてもらった。
いや、確かに個性的ではあるけど。何をするんだよこの部活。
でも何となく運命を感じてしまうのは、私の名前が「風華」だからだ。いっちょ冒険してみようか。

執筆中…

3/5/2025, 11:39:29 AM

【question】

ページを捲れば、問い、問い、問い。
試練で埋め尽くされた紙は心なしか重くて、シャープペンを握る右手が汗で湿る。
カチカチと秒針が鳴り、書け、書けと急かしてくる。
頭を引っ掻き回して答えを探す。
先生が言ってたこと、何だっけ。

「今までずっと努力してきたんだから、大丈夫。なんて無責任なことは言えないけど、先生は君の頑張りを分かってる。今の君はLv.99だ。明日自分を信じて、100で挑んで来い」

question,自分を信じたか?
answer,もちろん。

捲る、読む、考える、書く。
大丈夫、大丈夫。

fin

3/4/2025, 12:51:43 PM

【約束】

「先生。私、死のうとしたんです」
蒸し暑くて、入道雲が綺麗な日だった。
私は運動部と蝉の声を聞きながら、ぽつりと呟いた。
少し息を飲んだ音がした後、先生は何かを言いかけて口を閉じた。
「ベランダから飛ぼうと思ったんですけど、やっぱり怖くて。それに、また先生の国語受けたいな、って」

私は優等生だった。
演じていたつもりはない。そりゃあ少しは良い子ぶってたけど、毎日が楽しかった。やりたいことをやって、テストでも上位をとって。大人たちから信頼される子供だったと自負している。
それが、ある日突然崩れた。
一日中引きこもる日々が続いた。頭が痛くて、何をする気にもなれない。両親は最初こそ心配していたけど、そっとしてくれるようになった。
夏休みになって、ああもう3ヶ月も経ったんだと絶望した。それで、柵に手をかけた。
でも、先生の顔が浮かんだ。私が大好きな、あの優しい笑みがまた見たいと思った。先生を感心させたかった。気づけば教室の前に立っていた。

「じゃあ、約束しよう」
顔を上げると、穏やかな表情で先生が言った。
「えりちゃんの夢は?」
えりちゃん。私がずっと読んで欲しかった渾名。関根さん、絵里香さんと来て、ついに読んでもらえた。
嬉しくて飛び跳ねそう、でも質問には真剣に答える。
「…作家、ですかね」
「そうしたら、えりちゃんの本俺に読ませてよ。賞獲るでも、持ち込みでもいいから出版してさ。サイン会があったら、5冊持って行くから」
それまで、死なないで。
涙が溢れて、そう言ってくれた先生の顔は見えなかった。私は必死に頷いて、ふと質問したくなった。
「…ペンネーム、何が良いですか」
「え〜?絵里香、でしょ…えり、エリンギとか?」
なにそれ、と思わず笑ってしまう。
夏の午後に交わした約束。絶対に果たしてみせる。

fin

※フィクションです。エリンギから考えました。

3/3/2025, 10:27:02 PM

【ひらり】

ひらり、桜色の花弁が舞った。
空は澄んでいて、暖かな風が窓を叩いている。

今日、私たちはこの学校を卒業する。

良いことも、悪いことも沢山あった。笑って泣いて、これ以上ないほど充実した3年間だった。

思いを乗せて、歌声が響く。
知らぬ間に視界が滲んでいた。

ひらり、私のスカートが揺れた。
空は澄んでいて、暖かな風が窓を叩いている。

fin

卒業おめでとう御座います🎓

3/2/2025, 11:42:29 AM

【誰かしら?】

執筆中…

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