【まだ知らない君】
※薔薇注意
君のことは何でも知っている。
だって双子の弟だから。
好きな食べ物、動物、色、髪型
お好み焼き、虎、白、ポニーテール
得意な教科、スポーツ
国語、短距離走
苦手な食べ物、タイプ
人参、クラスの一軍的キャラ
多分君も、僕のことをよく知っているはず。
だからお互いに、何でも知っている。
…はずだったのに。
「ねぇお兄ちゃん、」
「ん、何?」
「僕の好きな人知ってる?」
「…」
まじか、兄としたことが。
知らない。
まさか彼女がいるのだろうか。
「…知らない」
不機嫌を装い答えると、
「お兄ちゃんだよ」
「は、likeかよ」
「違うよ、loveだよ」
「え?」
「俺、お兄ちゃんのことずっと好きだった」
そう言った顔は、僕のまだ知らない君だった。
fin
最近キープばかりですみません💦
【日陰】
すみません、キープです…
【帽子かぶって】
帽子かぶって、
マスクして、
長い髪はきつく纏めて、
ウインドブレーカーを羽織って、
鞄の中をチェックして。
いざ、
外出。
花粉との戦いが、始まった。
fin
私も毎年こうです。憎き花粉症…
【小さな勇気】
私には5歳になる息子がいる。名前は「勇気」。文字通り勇気ある人に育ってほしいと願い付けたものだが、現在は残念ながらそんな性格ではない。むしろ弱気で、毎日泣き声を必ずあげるような子だ。
別にだからといって夫婦共に不満もないのだが、どうしてこんなにも真逆に育ったのかと不思議に思っていた。
そんなある日、勇気が幼稚園の帰り道でボソリと言った。
「…僕、勇気じゃないの?」
「ん?どうしたの?」
「勇気って、強くてかっこいいんでしょ?僕は勇気なんてないって、だから勇気って名前じゃないって…」
言いながらべそをかきはじめる様子を見ると、どうやら友達にからかわれたようだ。
「…じゃあさ、」
この機会を逃す訳にはいかない、と言うのはちょっと可哀想か。しかし私は母親。子供には良い子に育ってもらいたい。
「勇気出して、夕ご飯のピーマン食べてみようか」
うげっ、と顔全体で嫌悪を示すところまではテンプレ。しかし今日の彼は一味違う。ううん、と熟考した後
「…わかった頑張る」
小さな声でつぶやいた。
よく言った息子よ。そういう小さな勇気が大事だ。
ピーマン料理を考えながら、私は小さな手をぎゅっと握った。
fin
【わぁ!】
「え、あとどれくらいで着くって?」
「駅にいるらしいから5分ぐらいじゃない?」
っしゃ間に合ったあ、と豪華な料理を運びながら威勢のいい声が響く。テーブルに並べるのを手伝っていると、こっちも準備できたよー、とのんびりした声が聞こえた。
「今年も驚いてくれるかなあ」
「まっすーは裏切らないからね」
僕らは何をしているかというと、友人であるまっすーこと増田のサプライズ誕生日パーティーの準備である。料理上手なかきぴーこと柿山が食事を作り、手先が器用なえっちゃんこと江藤が飾り付けを担当する。僕、おたきこと白滝はプレゼントやまっすーへの連絡を担った。皆でかきぴーの家に集まってパーティーをするのは、かれこれ3年ほど続いている。
もともとは高校の同級生だった僕らは、先生から雑用を頼まれた同志として出会った。性別も性格もバラバラな4人だったが音楽の趣味が奇跡的に合い、丁度その日はかきぴーの誕生日だったのでファミレスで祝ったのがはじまりである。
何度も企画しているのでさすがに慣れが生じるはずだが、まっすーだけは天然なのか毎回素直に驚いてくれる。それが嬉しい俺たちはこうして、念入りな準備をするのだ。
ピーンポーン
呼び鈴がなった。開いてるよー、とかきぴーが大声を出すとガチャリとドアが開き、真っ暗な部屋に困惑気味なまっすーが入ってきた。今だ!
「まっすー、お誕生日おめでとう〜!!」
クラッカーを3人で打ち鳴らすと、
「わぁ!」
待ちわびた反応が返ってきた。
fin
お題が可愛くて吹きました。