エリンギ

Open App

【わぁ!】

「え、あとどれくらいで着くって?」
「駅にいるらしいから5分ぐらいじゃない?」
っしゃ間に合ったあ、と豪華な料理を運びながら威勢のいい声が響く。テーブルに並べるのを手伝っていると、こっちも準備できたよー、とのんびりした声が聞こえた。
「今年も驚いてくれるかなあ」
「まっすーは裏切らないからね」
僕らは何をしているかというと、友人であるまっすーこと増田のサプライズ誕生日パーティーの準備である。料理上手なかきぴーこと柿山が食事を作り、手先が器用なえっちゃんこと江藤が飾り付けを担当する。僕、おたきこと白滝はプレゼントやまっすーへの連絡を担った。皆でかきぴーの家に集まってパーティーをするのは、かれこれ3年ほど続いている。
もともとは高校の同級生だった僕らは、先生から雑用を頼まれた同志として出会った。性別も性格もバラバラな4人だったが音楽の趣味が奇跡的に合い、丁度その日はかきぴーの誕生日だったのでファミレスで祝ったのがはじまりである。
何度も企画しているのでさすがに慣れが生じるはずだが、まっすーだけは天然なのか毎回素直に驚いてくれる。それが嬉しい俺たちはこうして、念入りな準備をするのだ。
ピーンポーン
呼び鈴がなった。開いてるよー、とかきぴーが大声を出すとガチャリとドアが開き、真っ暗な部屋に困惑気味なまっすーが入ってきた。今だ!
「まっすー、お誕生日おめでとう〜!!」
クラッカーを3人で打ち鳴らすと、
「わぁ!」
待ちわびた反応が返ってきた。

fin

お題が可愛くて吹きました。

1/26/2025, 12:18:06 PM