八色鵺

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8/20/2024, 10:52:22 AM

─── さよならを言う前に ───


帽子をかぶり
ジャケットを羽織る
手荷物は鞄ひとつ

ふと振り返り自分の部屋を見渡す

断捨離だと言って殆どの物は捨てたから
実に寂しい部屋だ

なんとなく一礼したくなった
なんでだろう
これから自由になるのに
誰にも何にも縛られなくなるのに

少しだけ名残惜しく思いながら玄関へ行き
お気に入りのスニーカーを履き
気持ちと一緒に靴紐をきつく結んだ

嬉しいような寂しいような
複雑な想いを胸に外へ歩き出した今日

私は人としての道を踏み外した

8/19/2024, 1:37:14 PM

─── 空模様 ───


ここ数週間ずっと空がへそを曲げている
時期的に仕方のない事なんだけれど
どうしても気分がくさくさしてしまうね
そろそろお日様が恋しいやつらも増えてくる頃だ

あまりやりたくないんだけどな

溜め息をひとつ吐き
膝の上の猫を床へ下ろし
椅子から立ち上がり
雨が降る外へ歩き出す

暗い空を見つめ片手をふわりとかざし撫でる

途端に雨雲はゆっくりと消え失せ
暖かな光が降り注ぎだした


天気は自然の贈り物
人工的に操るものじゃないんだけれど
たまにはね


眩しそうに目を細めながら
家までのぬかるんだ道を戻っていく

8/18/2024, 12:45:23 PM

─── 鏡 ───


父譲りの綺麗な髪
母譲りの陶器のような肌

とても美しい娘だとみんなは言う
それなのに
私は自分を見たことがない

家には鏡と名の付くものはひとつもなかった

両親に何故ないのか聞いても
買って欲しいとねだってみても
意味がないからと取り合ってくれない

だから内緒で買ってきたの
とても私好みの可愛らしい手鏡

帰宅してから覗いてみようと
その場で我慢するのが大変だったわ

両親が寝静まったあと
自室でこっそり鏡を覗き込む

数十秒見つめた次の瞬間
私は悲鳴をあげて手鏡を床に叩きつける


覗いた鏡には私の部屋しか映っていなかった

8/17/2024, 2:10:49 PM

─── いつまでも捨てられないもの ───


それが何なのか僕にはわからない
知りたいとも思わないし
無理に話さなくてもいいよ

君にとってそれは
大切なものかもしれない
手放すべきものなのかもしれない

それを自覚できないからつらいのかな
自覚していても同じくつらいだろう

でもそれでいいんじゃない

1秒前までの過去の君で
今のこれからの君なんだから

8/16/2024, 11:53:52 AM

─── 誇らしさ ───


年相応なんて知らないね

自分に1番似合う髪型に髪色
魅力的に見える化粧
服だって好きなものを着る

人と違うのは確かに最初は不安だね
だけどその不安の先に居るのは

自分という唯一無二の存在
恥ずかしくなんかない

好きなものは何歳になっても好きでいるといい

それを胸に生きていけばいいのさ
きっと間違ってなんかいない

ただしTPOだけは守りなよ

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