終わらない物語なんて、ない
この世界に存在する、80億個以上の物語は、
必ず、終わりが来る
どんなに、永遠を夢見たって
人間という生き物である以上、すべてに終わりは訪れる
そして、今この瞬間にも、
きっと、いくつもの物語がなくなっていく
まだ、続くはずの物語も
何かの拍子に、突然となくなってしまう
まだ続きたい、物語を歩みたい、そう願っても…、
それを叶えることができない物語もたくさんあるだろう
物語の終わり…、それは"人の死"だ
「あの人は…生きて…、生きているんですよね、?」
そうやって、僕に尋ねてきた君の体には
痛々しいほどに、包帯が巻かれていた
そして、失った片腕…、
僕はそんな彼女に絶望を味あわせたくなかった
"生きている"
そう伝えた瞬間、張り詰めていた緊張がとけたみたいに
安堵したのが伝わってきた
どこにいるのかと、尋ねてくる君に僕は…、
いくつの嘘をついたのだろう
どれだけ、バレないようにしていても
嘘はやっぱり、いつかバレるもの…
「どうしてっ…!?生きていると……、生きていると
おっしゃいましたよね…!?」
瞳に涙をいっぱい溜めて、僕に訴えかけてくる
その時、僕は初めて思い知ったんだ
やさしい嘘のつもりだった
でも…、
彼女にとっては、あの日…、あの時に伝えていた方が
傷は少なかったのでないか
僕が彼女に、生きているという希望をあたえてしまった
僕が、彼女にこんなにも重く、辛い悲しみを
あたえてしまった
これまで、彼女は生きているという希望を胸に
生きてきた
それを近くで見てきた僕が一番よくわかっていた
走っていく彼女に、かける言葉もなかった
やさしい嘘のつもりだった、
彼女のためを思ってついた嘘のつもりだった
いや、違うか…
全部、僕の自己満足だったのかもな…、
瞳をとじて、思い浮かべるのは
いつもあなただった
友達を大事にしてて、家族愛が強くて、
みんなを盛り上げてくれて、いざという時には強くて、
あなたみたいに愛に溢れていて、優しい人に
わたしは初めて会ったの
あなたの声を聞くと、すごく落ち着く
思わず、寝てしまいそうになるほど…
ねえ、こんなにもあなたが愛おしい…
なのに、この想いが実ることはないのね
あなたを思い浮かべるとね、
幸せになると同時に、とてつもなく虚しくなる
ああ、この恋は叶わないんだって…、
それでも、
瞳をとじて、またあなたを想い浮かべる
羅針盤…
それは方位を示してくれるもの
じゃあ、わたしの道も示してくれる?
この暗闇の中で、明かりの灯る道を教えてくれる?
ねえ…?
羅針盤はわたしの
方角…、道…、教えてはくれないの?
なんだ、
使えない道具だなぁ…
友達はいるのに、わたしの隣には誰もいない
友達はいて、話したり笑う時がある
なのに、ふと気がつくとわたしの周りには誰もいない
でも、友達に変に思われたくなくて
なんでもないフリする
わたしは大丈夫、
自分にもそう言い聞かせていたのかもしれない
たとえ、隣に友達がいなくて、つらくて、悲しくても
それを友達に見せないように頑張ってきた
相手の友達の輪も見出したくなかった
私一人が我慢すれば、みんな幸せなんだから
私一人のせいで、周りに迷惑をかけたくない
だから、また明日もいつも通りに歩けばいいんだ…
いつも通りに学校行って…、
そうだよ、それだけのことなのに
明日に向かって歩く、でも
わたしの心は…、もう限界だと訴えかけてくる
つらいな
明日が怖い