酸素が足りない
空気を吸いたくて、吸いたくて、必死にあらがいた
それが…、だめだった
学校の着衣水泳で、嫌と言うほど学んだのに
いざ実際に体験してみると、パニックになってしまった
必死にあらがってしまった
生きたいと願ってしまった
あなたとまだいたいと願ってしまった
薄れいく意識の中で、あなたの顔だけが浮かんだ
記憶の海
ただただ彷徨う
この広大な真っ青な空間
なにもないこの空間
所々に、見覚えのある映像が見えた
あぁ、そっか、
これはわたしの記憶なんだ
これまでの、憎く、忌々しい記憶
これまでの楽しく、幸せだった記憶
もう、思い出したくもない、あなたの記憶
ただ君だけ
こんなにも愛したのも
こんなにも会いたいと願ったのも
こんなにも抱きしめたいと思ったのも
ただ"君"だけなんだ
だから、お願い…
僕の前から消えていかないで
未来への船
平和に進んでいるかと思えば
突然とくる嵐
目的地がわからなくて
ただただ広大な海を彷徨う
船を漕いでると、腕が痛くて痛くて
つい止めてしまいたくなる
あぁ、ほんとに人生みたい
船を後ろ向きに漕いでるとさ、進む道なんて見えない
だから、前を向いて進まないとね
たとえ、どんなにつらくて、苦しくて、
死にたくなるような毎日でも
"夢を描け"
『将来の自分』
『なりたい自分』
そんなお題に、なんの意味があるの?
先生の説明を聞いてから、約十数分は経っただろうか
周りの友達は、
『◯◯になりたい』『◯◯とか良くない?』
なんて、楽しそうにお題に沿った絵を描いている
うるさい、うるさい、うるさい…!
そんな、の、ただの…、ただの妄想だ、
そんな簡単に…
なりたい自分になれるなら、わたしは…
わたしは、きっと今ごろ、、
涙が溢れそうなのを必死に抑えて、
それに加え、真っ白なスケッチブックに見て
心が締め付けられそうになった
顔を俯けて、膝の上に置いていた両手を
さらに、強く握りしめた
『あれ?大丈夫?』
隣の席の子が心配そうに、尋ねてきた
あぁ、その声すらイライラしてくる
でも、わたしは静かに大きく息を吸って
大きな笑みを顔を浮かべた
周りからよく称賛される笑顔
わたしがしないといけない笑顔
『うん!大丈夫!ありがとー!』
ああ、これでいいんだ
これが今のわたし
"夢を、描け"
"未来を描け"
未来なんて…、ないのにね…笑