"良いお年を"
昔からその言葉が嫌いだった
クラス中がその言葉で盛り上がっているのに
わたしはその輪に入れなかったから
でも、今年はわたしもその輪にいる
良いお年を!
その言葉はとても温かいと知れた
1年を振り返る
たくさんのことがあった、
つらいこともたくさんあった
楽しいこともあったな
なんて言いたいけれど
正直言ってなにも変わらない1年だった
いつも通り、つまらない1年
楽しいとこも特にないし、なにも感じないから
つらいと思うこともなかった
明日から新しい1年になるというのに
なにも感じない
ただ、新年という事実だけが
わたしの中に縫いつける
まだ、この命は続くのかと…
"みかんを食べる"
それはわたしにとってはすごく大切なこと
お母さんの怒声が鳴り響く家の中で
わたしの居場所はない
だから、いつも外に出歩いていた
目的地もなく、ぶらぶらと何時間も歩き回る
でも、不思議なんだ
お父さんが久しぶりに帰ってきたときには毎回みかんを買ってきてくれる
それを食べた日にはね、ある男の子と会えるの
いつも歩いるとばったりと出会う
あなたと会う日、わたしは必ずみかんを食べていた
ならば、みかんを毎日でも食べてあなたに会いたい
でもそれが叶わないのは…、身を持って知っていた
毎日出歩くと、お母さんが世間体を気にして
わたしを叩いて、怒声をあげて、物を投げてくるから…
そして次の日に会えた時はあなたに心配かけたなぁ
もしも、わたしとあなたと結ぶ関係がみかんなのならば
わたしは…、一生みかんを離したくはない
バカみたいな話だけれど…、、、
冬休みが近づくと、わたしはほっとする
あの地獄から解放されるのだと…
あの教室に、わたしの居場所はない
まあ、家にも居場所はないのだけれど
でも、周りから哀れの目で見られないし
先生からも変に気をつわれなくて済む
毎朝学校に行って、俯いていたら午前の授業が終わり、
逃げるように屋上に行き、お昼の時間を潰す
そして、また俯いていたら午後の授業も終わって
図書館で時間を潰して帰る
お弁当は作ってもらえないし、なにかを買うお金も
ないからお昼はいつもなにも食べない
おかげで、やせ細って、もっと先生たちに心配される
余計なお世話だよ
そんな日々から、数週間でも解放されるのだ
冬休みというものを使った人を感謝したいくらい
まあ、でも
どうせ家にいても怒声を浴び続けられる日々に
変わりはないのだけれど、、
家にも学校にも囚われることのない休みを過ごしたいな
1日でもいいから…
本当に世界には変わらないものなんてあるの?
ずっと一緒だよって言ってくれた恋人も
これからも仲良くしようねって言ってくれた友達も
子供の頃に愛してるって言ってくれた親も
結局はみんな心変わりしていく
大事な人は私ではなくなる
今回も…、ほら
「一生幸せにする、だから…」
その言葉は、本当なの?
信じてもいい?
一生…、
死ぬまでわたしと一緒にいることを約束してくれる?
でも…、わたしも
あなたに対するこの気持ちは、
絶対に変わらないのだと不思議とわかってしまう…