クリスマスがただ退屈で、早く終わってほしいと思ったのはいつぶりだろう
小さい頃は毎年退屈に思っていたけれど、あの人が現れてからは、すごく楽しいイベントだった
でも今では、
外に出ればクリスマスソングが流れ、イルミネーションでいつもより明るくなかった街が眩しい
クリスマスというイベントで浮かれている人たちが
眩しい
家に帰っても、テレビを見ればクリスマスの特番をしているからつける気も起きない
真っ暗で、静かな部屋にわたしは座っている
チッチッチという時計の音
あ…、12時過ぎた
やっと26日か
今年も終わった
この地獄の時間が
イブの夜なんて、昔から大嫌いだった
子供のころは、プレゼントなんて来ないと知っていたから、泣きながら寝ていたし、
大人になった今でも、この明るい世界の中で孤独な気持ちになる
みんなにとっては、ワクワクするようなイベントなのか
それとも恋人とと過ごしたりする大事な日なのか
わたしは、この日をずっと呪って生きていく
そんな覚悟を無意識にしてしまっていた
いつからだろう…
イブの夜がたまらなく楽しくなったのは
わたしが準備して飾った部屋を褒めてくるあなた
わたしの手作りケーキを美味しいと食べてくれるあなた
最後にプレゼント交換をし合うと、いつもわたしの気に入るものをくれるあなた
今年のプレゼントは…、"結婚指輪"…?
ほら…、またわたしが喜ぶものをくれる…
昔のあの苦い気持ちを思い出す時もあるけれど
全てあなたで上書きされる
来年は…、夫婦としてクリスマスを過ごせるのかな?
今日はクリスマスイブ
"クリスマスは恋人と過ごす大切な日"
そんなものに憧れていた
だから、一人で頑張って部屋を飾った
でも…、スマホには『仕事が長引いてる』の通知が1件
暗く、静かな部屋にはチッチッチという時計の音が無駄に大きく響いている
もう、来ないのだろうか
そんなことを考えていたら12時になっていた
もう、寝ようか、そう思っていた時、
パチっと部屋の明かりがつき、わたしの最愛の人が立っていた
ごめんねと言いながら、わたしを抱きしめてくれる
「仕事も長引いてたんだけど、準備してたら思ったよりも時間かかっちゃって。でも、絶対に12月25日、この日に言おうって決めてたんだ。」
そう言いながら、わたしの前で膝まづくあなた
「僕と結婚してください」
きっと、わたしの人生の中で
一番嬉しかったプレゼントだ
ゆずの香りはわたしが唯一落ち着く匂い
これまで、他人と関わることが怖かった
人が近づいてくるだけで体が拒否反応を起こす
わたしは、ひとりで孤独に生きていくのかなって
そんな不安が募っていく日々だった
でも、ある日ふと匂ったあのゆずの香りは、
自然とリラックスができた
もう一度、その香りを嗅いだのは
あなたと出会った時
あなたに抱きしめられると、わたしはすごく落ち着くの
それは、ゆずの香りのせいなのかもしれない
けれど、気持ちのほうも、それに追いついていくのが
自分でわかったんだ
この大空のその先にはなにがあるんだろう
"宇宙"なんて、それはそうなんだけどね
もし、天国がなるならば
わたしが死んでも、あなたを見守ってあげられるね
なら、死ぬのも怖くないかも
神様もいるのかなぁ…
なら会えるのはあと一ヶ月後くらいかな…
楽しみだなぁ