変わらないものはない。
昔、遊んでいた友だちは、今何をしているんだろう。違う高校に進み、大学に行き、もしくは就職なんかも終わってるだろうか。時間が過ぎていることを実感することは、あまりに怖い。隣にいるあなたが急に居なくなるかのような、カレンダーの日付が3つ飛びに過ぎ去っていくかのように、不安のない生活は考えられないくらいに遠い。
私はハロウィンのカボチャを見たし、ツリーの前でイチャつく恋人も見た。たった今終わろうとしている今年も、そのうち訪れるだろう。
自分のそばにあるものが、変わらないとこなんてない。なんなら、変化を楽しいと思いたい。だってそれが、昔憧れた、ブラックコーヒーを飲む先生や、二重跳びを飛ぶ年上の従兄弟と並ぶってことだから。そろそろ、変わらなければいけない。
イブの夜。
一人とか、二人とか、家族とか、イルミネーションとか。数えてたら意味の無いものでも、少し気にしたりする世の中。動画観て、通話して、本を読んで、呟いたりする。まるで怠惰を貪るモノノ怪のように、パソコンに向かって何も浮かばない小説家のように、どうしようも無いから、空に向かって叫ぶ。
文字だけを読むより、映像が好き。傘だけを差すより、カッパも欲しい。街だけを歩くより、海に浮かびたい。手をただ叩くより、タンバリンが欲しい。
迷走し始めるのがイブの夜で、私もあなたも迷っている。それが楽しいから、みんなチキンを食べて、ケーキを眺める。あぁ、だからクリスマスは楽しいんだ。サンタさんはやってくるかな。
ゆずの香り。
最近は、鼻が詰まっている。冬の花粉だかなんだか知らないが常に右か左かの鼻がムズムズして、乾燥なんてものまで押し寄せてきて、窒息気味の毎日だ。しかも、感染病なんてものまで流行っていては、鼻が効かないだなんて大ぴろげには言えっこない。それがさも、大地を歩く人間の数が億を超えるのが当然かのように、コンテンツを消費して一日を終えることに違和感を覚えないのが当然かのように、普通のことになりつつある日常の一つであっても何も問題が無いのだ。
香りなんてものに取り憑かれて、分かってもいない匂いを愛想良く笑いながら褒め称える君は、私にとって宝物だ。柑橘系の強く甘い臭いも、丸まった靴下からする強く漂う匂いも、どちらも比べようがなく好きだ。
今日も疲れた。ゆずの香りに包まれて、こんな文章を書くぐらいには、疲れている。
大空。
航空機に乗って、あの高い空を泳いでみたい。その大きな雲を乗り越えて、世界を渡ってみたい。そんな願望がいつからがずっと疼いている。大空なんかに飛ぶ前に、もっとする事があるだろう。そう言う君に何度も会った。そう言う自分に何度も挫けた。だけど、それでも、羽ばたいて、傍に寄って、近ずいて、空に行く。
芯から冷える寒さの中でも、線上に広がる熱の道でも、繋がってる高い空では、自分を見失っても大丈夫なんだって、そろそろ気づいた。だって、もう大人だから。そろそろ大人になるから。心の中だけでも、大空に、いつでも、飛び立てるから。
隣に誰もいなくても、とても楽しい空がある。
みんなに囲まれた、とても広い大空があるさ。
寂しさ。
息苦しく感じるようになった平穏も、忙しく過ぎる生活に疲れた時も、相変わらず隣にいるのはいつも君だった。足も、手も、腕も、腰も、首も、肩も、心臓も疲れてる。重たくのしかかったそのものに、ため息だけが出る。
暖かい世界で生きているはずなのに、時々全てが冷たく見えて、声も届かず、足音も閉ざされ、曇り空の中だけで一生を考えたりする。そしたら多分憂鬱で、とても寂しい気分だろう。
こんな時世で何ができるかって、くよくよ考えてしまうけれど、イルカが超音波で会話するように、馬鹿が風邪を引かないように、超能力的な何かとかで、頑張って生きてみようと思う。私の中の寂しさは、あなたがいれば変わるから。胸のときめきと重なるだろうから。