【モノクロ】
白と黒が織り成す世界で
ただ1人待ち続ける
混じりあい、ただの2色ではない私たちは
言葉では言い表せない色を持ち合わす
【永遠なんて、ないけれど】
ぱらぱらと、雫が葉に当たる。
伝って落ちる水滴は、ばらばらに途切れ途切れで重力に従っていく。
朝、目が覚めると決まって隣にいる。
ふわふわとしたそれは、私のお気に入りのぬいぐるみ。
「うさぎちゃんと、ずっと一緒にいるの」
幼き私は疑いもせず、きらきらとした眼差しで母に伝える。母が嬉しそうに微笑んだのを、今でも覚えている。
思い返すと、胸が痛んで張り裂けそうになる。
今はもう、うさぎのぬいぐるみは無い。
母が事故で亡くなってから、見るのが辛くて捨ててしまった。それからというもの、世の中には永遠が無いことを痛感した。
「ずっと、一緒にいよう」
数日前、彼氏からそう言われた。
永遠なんて、ないけれどね。
内心思っている。ずっと変わらないことなんて無い。
でも同時に、私が永遠にこう思い続けることも、きっとない。どこかできっと考えが変わるのかなと思いながら、歩む。
その日は、曇り空から限りなく薄い光がベールのように地上に降りそそいでいた。
【涙の理由】
ぽろぽろと何かが頬を伝う。
想いの欠片で湿らせた頬は、周囲の空気によって冷たくなった。
涙には、こんな役割や意味があるらしい。
なみだ【涙】
①泣いたときや、目にごみが入ったりしたときに、目から出る水分。
②人に対する、思いやりの気持ち。
〈用例〉血も涙もない。
どうして、体の調節機能に人の感情が関わるのか。
どうして、こんなにも涙が出るのか。
止めたくても止まらない、厄介な機能。
夜遅くの0時半の反省会は、
0時を過ぎても魔法が解けなかった。
「コーヒーが冷めないうちに」
カーテンの隙間から、徐々に光が漏れ出す。
昨日の記憶を引き継いだもの達が、きらきらと舞う。
柔らかな光が休日のゆったりとした雰囲気を感じさせた。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
その声を合図に空気がふわりと流れた。朝一番のカフェはコーヒーを飲んでないにも関わらず、心の満たされる時間であると私は知っている。
上手くいかないことが多いと沈んでいた気持ちを誤魔化すには、コーヒーが最適なのだ。
コーヒーが冷めないうちに一口、こくりと口に含ませる。心が冷めないうちに、息抜きをする。