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【永遠なんて、ないけれど】


ぱらぱらと、雫が葉に当たる。
伝って落ちる水滴は、ばらばらに途切れ途切れで重力に従っていく。


朝、目が覚めると決まって隣にいる。
ふわふわとしたそれは、私のお気に入りのぬいぐるみ。

「うさぎちゃんと、ずっと一緒にいるの」

幼き私は疑いもせず、きらきらとした眼差しで母に伝える。母が嬉しそうに微笑んだのを、今でも覚えている。



思い返すと、胸が痛んで張り裂けそうになる。
今はもう、うさぎのぬいぐるみは無い。

母が事故で亡くなってから、見るのが辛くて捨ててしまった。それからというもの、世の中には永遠が無いことを痛感した。



「ずっと、一緒にいよう」
数日前、彼氏からそう言われた。

永遠なんて、ないけれどね。
内心思っている。ずっと変わらないことなんて無い。


でも同時に、私が永遠にこう思い続けることも、きっとない。どこかできっと考えが変わるのかなと思いながら、歩む。

その日は、曇り空から限りなく薄い光がベールのように地上に降りそそいでいた。









9/28/2025, 1:32:37 PM