小石 涼

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5/31/2023, 3:39:22 AM

 ただ、少年は必死に走った。
 最初はトンボを追いかけて。
 その次は、川を目指して。
 そして気付いたら山の頂上を目指していた。
 
 少年は毎日、退屈から逃げるように走った。
 でも少年は退屈の反対をまだ知らない。

5/29/2023, 10:02:41 PM

 「こんな話してごめんね。」
 
 自分はどう言えばよかったのだろう。
 聞いて欲しかっただけかもしれない。
 それでも何かを言わないといけなかった。
 でも、結局自分は何も言わなかった。
 いつも通り。

 それから、彼女は引っ越してしまった。
 

5/29/2023, 10:08:21 AM

 彼はお気に入りの半袖シャツを着なくなった。
 服が破れるのを恐れて、大事な時に着ると決めたから。
 久しぶりに着たのは友達と遊ぶときだった。

 子供の頃の彼は全ての半袖の服がお気に入りだった。
 そんな彼は、夏休みのほぼ全てを半袖で友達と過ごした。
 毎日が大事な日だったから。

5/27/2023, 1:15:21 PM

 天国と地獄。
 ( 俺は地獄に墜ちたい。 )
 
 破滅に何かを求める彼はそう思ってる。
 天国なんて、つまらない場所だと。
 彼にとっては平和と愛が毒だから。
 
 でも彼の命運は天国だ。
 今まで罪を犯したことは無いし、これからも無い。
 彼は結局、破滅を星に願いながら何かをするわけではない。 

 彼は地獄に墜ちても良いと思える事をしたいと思ってる。
 それが何かを分かってないくせに。

 
 

 

5/25/2023, 10:11:26 PM

 縁側に座って叔父が本を読んでいる。
 叔父は本が好きな訳ではない。
 でも、夏目漱石を読むから子供の頃は本が好きだと思っていた。
 
 叔父は、三行読んでは外を眺める事を繰り返している。
 でも、雨が降り始めたら本を閉じてしまった。
 雨の音を聞いているのか蛙の音を聞いている。
 叔父はしばらくすると傘を2本持って出掛けて行った。
 なんだか嬉しそうに。
 
 それからは、いつまでも降り止まない、雨。
 叔父は傘と本を閉じて縁側から雨を眺めてる。

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