鏡の中の自分に問いかける。
おまえなら大丈夫。
おまえなら大丈夫。
それはいつか呪となって、私を縛り付けた。
呪いを解く方法はひとつ。
あなたからの『がんばったね』の一言。
悠久を生きるあなたが寂しくないように
いつか来る別れのあとにも
色褪せない世界があなた包み込むように
永遠の中の一瞬をあなたの中の永遠に刻みつけよう
アナザーストーリー。
それは主役になれなかった者達の物語
私があの人に振られるまでの物語。
あの人と別の人が結ばれた裏で描かれる私の物語
私が幸せになるところはまだ白紙のまま。
これからも続いていく話にはそんな未来もあるのだろうか。
毎朝駅で出会う男の子。
おはよう。
いつもの挨拶と題のない雑談。
高校の三年間のうち、ほとんどをそうやって過ごしてきた。
明日が最後の登校日。
想いを伝えよう。
いつもの挨拶からはじめる愛言葉で、
中学生の少女が亡くなったニュースで溢れかえる。
原因を調べる中で、両親の虐待が発覚したことが世間の関心を呼んだ。
更に、少女は遺書を友人の少年に預けていたようで、その少年にも非難が殺到している。
なぜ助けてあげなかったのか、友達なら当然助けてあげるべきだった、そんな言葉が多く聞かれた。
そんな中、遺書の内容を知る者からの情報で、状況は賛否両論に分かれることとなった。
その内容には、行政の機関に相談したが解決がされなかったこと、妹がおりこのままでは妹が危ないこと、その妹を救うために自分が死ぬことにしたことが書かれていた。
少年はこのことを知った上で、自分では解決もできず、ただ少女の願いを叶える為に全てを押し殺した。
たった一人の友人を失う悲しみに耐え、少女の死を受け入れた彼がどこかで口にした。
自分は無力で、何もすることができなかった。
友達として、自殺を止めることが正しかったのか、願いを叶えることが正しかったのか未だに答えはわからない。
それでも彼女が最後に残した言葉
『ありがとう』
それだけが救いなのだと。