何か重たい物を下ろす音と共に「ただいまぁ」と君の声がした。
それっきり、リビングに来る気配がない。
なんだ?
キッチン横の洗面所の引き戸から廊下へと顔を出せば、見知らぬ大きな段ボール箱にだらりと凭れている君。
今度は何を持って帰ってきたんだ?
重そうな段ボール箱をズリリ……、と押しながら目の前までやって来た君に問えば、何時ものへにゃへにゃな笑顔が返ってきた。
勤めている店のクリスマスツリーを新調したとかで、今までお店で使っていた方を貰って帰ってきたそうだ。
これで我が家の質素なクリスマスが一気に華やかにゴージャスになるよ!
なんて君がウキウキしながら早速リビングで、バラバラになっているツリーの白い骨組みを繋げていく。
「新しいのは幹のとこまでホワホワァ〜って光るんだよ!それがすっごく幻想的でね綺麗!」
ふふふ、と思い出し笑いをしながら組み上がった真っ白なツリーを「よいしょっ」と立たせれば。
「星、つけられないな」
「うそっ!?」
天辺の一枝が僅かに天井に触れていた。
テーマ「部屋の片隅で」
なんてタイムリーなお題。
今まさに風邪引いてるよ。
鼻水と喉痛、軽いめまい。
夕方から関節が痛みだして、咳もたまに出るようになった。
薬が切れてこの時間に目が覚めたのか、神経が切り替わる時間帯だから息苦しくて目が覚めたのか。
よくわからないが、市販薬で治っておくれ。
この『微妙』な時期に、病院には行きたくないの。
テーマ「微熱」
掃いても掃いてもパラパラ落ちてくる落ち葉。
黄色、茶色、焦げ茶色、たまに鮮やかな朱色の葉っぱ。
それらに紛れてタバコの吸い殻、飴ちゃんが包まってた包み、と飴ちゃん本体。
あーあ、落としちゃったのね、とクスリと笑いながらササッと掃いてチリトリの中へ。
もう秋も終わりだねぇ、なんて独り呟きながら、はらりと落ちた山茶花の白い花弁を拾った。
テーマ「落ちていく」
粘土も捏ねたいし、絵も仕上げたい、部屋の掃除に、散歩、買い物にも行きたい。
買い物も散歩もネットで済ませて。
部屋掃除は、カラっと晴れてる時にしたいから今日はやらない。
残るは粘土か、絵の仕上げか。
どっちにしようか、それとも並行でやるか?
う〜ん。
……取り敢えず、腹拵えからかな。
なに食べよう?
テーマ「どうすればいいの?」
あなたの宝物は何ですか?と誰かに聞かれたら、おそらくこう答えると思う。
ない、と。
宝物に成り得る物品を他人から譲渡されたことも、自ら購入したことも又これからも購入することはないので。
宝物はない。
そもそも、金で買えるような物体が宝物に成り得るとは到底思えない。
どうせ、飽きたり、他に欲しいものが出来たら、売り飛ばすだろ?
たいして手入れもしないで、汚れたら捨てるんだろ?
宝物なんて売ってないんだよ。
テーマ「宝物」