威勢の良い掛け声とともに大きな神輿を担いだ男衆が商店街の角から現れた。
夏真っ盛りの日差しも何のその、揃いの柿渋色の法被に白い股引き姿の男衆が、滴る汗を光らせながら街を練り歩く。
カカッとリズミカルな拍子木の音、遠くの方から近付いてくる祭囃子。
重そうな神輿は担ぎ手達に上下に激しく揺さぶられながら、目の前をゆっくりと通り過ぎていった。
テーマ「胸の鼓動」
突然、臨時放送に切り替わったテレビには煙を噴き出す二つのビル。
まるで映画のワンシーンのように旅客機が奥のビルに激突し爆発炎上。
薄黄色の粉塵とともにビルの一つが崩れ落ちた。
暫くして残された片割れもまた同様に崩れ落ち、画面には薄水色のきれいな空が映し出され。
群れて飛ぶよう鳥のように、オフィスで使われていただろう白い紙がチラチラと舞っていた。
テーマ「踊るように」
ケチャップとかマヨネーズとかさ。
容器にほんのちょっとだけ残ることがあるじゃん?
あれ、どうすればいいの?
使い切ろうとして料理に入れたら味が変わっちゃうし。
次使う時までって、とっといたら結局さ、冷蔵庫の肥やしになっちゃうじゃない?
まさか、口つけてチュウチュウするわけにはいかないでしょ。
みんな、どうしてるのか気になる。
すっごい気になる!
あと、歯磨き粉とかも、深追いしてるのかな?
気になる〜!
テーマ「些細なことでも」
いつ君が家に来ても大丈夫なように、せっせと部屋のお片付け。
カーテンレールやペンダントライトのカサ、飾り棚の奥の方に隠れている綿埃を排除。
ローテーブルの下に敷いてあるカーペットをベランダに干して、フローリングを念入りに雑巾がけする。
掃き出し窓を開け放ち、埃っぽい空気と共にベランダに出て、ちょっと休憩。
日に日に秋めく風に吹かれて、キンキンに冷えた麦茶を呷った。
テーマ「突然の君の訪問」
焦げてる面と、焦げてる面を重ね合わせて。
薄青色の平皿に焦げフレンチトーストを乗っけて、クルクル皿を回してみる。
ぱっと見、二枚重ねとは気づかない、はず!
皮を剥いて少しだけ厚めにスライスした桃とキウイを良い感じに盛り付けて。
駄目押しに粉糖で粉飾、君に勘づかれない程度にパタパタとふるって表面の薄い焦げを隠す。
よし、これで焦げはわからないだろう!
「……なんか、フレンチトースト分厚くない?」
サラダを食べ終えた君が、フォークでフレンチトーストを軽く突きながら小首を傾げた。
テーマ「向かい合わせ」