いつもと変わらない一日。
朝食を一緒に食べて、バラバラに家を出る。
君は電車に乗って、私はとっとこと徒歩で、それぞれの職場へと向かい、それぞれの仕事に勤しむ。
きっちり定時で上がる君、ちょっとだけ残業する私。
帰り道の途中、商店街の行きつけのスーパーの前で、不思議と君と一緒になる。
今日は大根を両手に、品定めをしている君を見つけた。
後ろから声を掛けて、振り返ったスーツ姿の君の傍らに走り寄る。
いつもと変わらない毎日を。
君の隣で、ずっと。
テーマ「終わらせないで」
君は体温が高い。
聞けば、なんと平熱が37〜8℃位だと言う。
ふへっ、……驚いて変な声が出た。
人種によって平熱が違うらしい、筋肉量の違いだろうか?
あー、だから真冬にTシャツ短パンで観光地を彷徨いているのかあ、とホカホカと温かい君の胴に顔を埋めて目を閉じた。
テーマ「微熱」
まだまだ青い芝の上、穏やかな秋の陽射しを浴びながら馬が駆ける。
期待されてもされなくても構わずに、前へ前へと、ただ本能に従って走る。
父を母を、兄弟たちの背を追いかけ、飛び越えて。
世界へ。
そんな誰かの願いもどこ吹く風と、馬は青いターフ駆け抜けるだけ。
テーマ「太陽の下で」
葉っぱのフレディ、随分と懐かしい絵本。
まだ自分が小さかった頃、父母に何度も読んでもらった。
友人の誰かに貸したまま返ってこなくなったと思っていたが、リビングの本棚の上から出てきた。
いったい何時から其処に置かれていたのか、褪せた表紙に油っぽい埃が厚く積もり固まっている。
濡れ布巾で丁寧に拭うと、懐かしいシンプルな表紙のその絵本を開く。
もういない、父母の声が聞こえた気がした。
テーマ「落ちていく」
シカが轢かれて死んだら可哀想だなんだと煩く喚くのに、
人が轢かれたら「めいわく、違う場所で死ね」と吐き捨てる。
競走馬が骨折して安楽死になったら競馬廃止を訴えるのに
仕事で人が死んでも、自己責任で片付ける。
餓死確定のクマを駆除すれば、「お前らがエサになればいい」なんて言った愚か者も出た。コイツを餌にすればいいのにね。
四六時中触っているソイツで、ちょっとは調べたらいいのに。
それはゲーム機でもカメラでも無いんだから。
テーマ「どうすればいいの?」