散歩の途中で拾った枝や鳥の羽根、謎の木の実。
水をかけると青緑に透ける石、友達の誰かに貰った異国のコイン。
子供の頃に集めていたカード、飼っていたネコのヒゲ。
銀のエンゼル、へそくりが挟んである古い手帳。
若い頃の両親の写真。
ただのガラクタと笑うだろう。
だが、私にとっては大切な鍵だ。
テーマ「宝物」
無償の愛、隣人愛、そんなもの無い。
自分よりも劣った奴を囲むため、サンドバッグにするために。
あいしてる、だいすき、ともだち、かぞく。
きずな。
呪いの言葉で縛りつけて、逃げられないようにして罵る。
あなたのため、あなたのため、あなたのため。
自分がキモチヨクなるためだろ?
愛なんて無いんだよ。
テーマ「キャンドル」
全て忘れてしまう前に、全てを終わらせてしまおう。
壊れたものを直しても、決して元には戻らない。
私が私で在るうちに、君のことを覚えている内に。
君との甘い記憶を胸に、地を蹴った。
ああ、そらが、きれい。
テーマ「たくさんの想い出」
トイレの中と外、扉一枚隔てて、まるでこの世の終わりかのような声で鳴きあう猫二匹。
朝っぱらから何してんの。
欠伸をしながらトイレの扉を開けてやれば、此方を非難するような冷ややかな目を向けてくる猫ども。
抗議するように短く鳴いて、仲良く階段を駆け上がる二匹。
助けてやったのになあ、とそのままトイレに入って用を足していると、再び、二匹の悲愴な鳴き声が響き渡る。
……雄同士で何やってんの。
テーマ「はなればなれ」
ゴロゴロと喉を鳴らしながら、Tシャツの裾に頭を突っ込んでくる君。
くねくねフワフワの尻尾。
軽く出された爪が痛い前足のふみふみ。
Tシャツの中に体を滑り込ませて、腹の上で伸びる君。
顔が見えなくなって寂しくなったのか、ピャアピャアと甘えるような声を出しながらモゾモゾと這い回る。
素肌に君の毛がチクチクと当たって擽ったい。
くすくす笑いながら、Tシャツの上から膨らんだ所を指先で軽く突付くと、君の可愛い肉球が布越しに当たる。かわいい。
直後、布を貫通した鋭い鉤爪が、指の腹にグサリと刺さった。
テーマ「子猫」