私は、私の思うように生きていく。
自分が正しいと定めた道を歩む。
誰に何を言われようが、知ったことか。
お前らには一切関係ないことだろう、私の好きにさせてくれ。
お前らの人生じゃない、お前らの命じゃない。
私の人生、私の命だ。
ひとの生き死にを勝手に決めてくれるな。
ぜんぶ、私のモノだ。
私が決める。
テーマ「誰かのためになるならば」
直径3メートルの白い円の中。
狭い円錐形の内側。
唯一、私が輝いていられる場所。
可愛いを詰め込んだ、「私」には苦痛でしかない衣装を纏い、歌って、踊って、キラキラとした笑顔を振りまく。
輝いている私も、輝いている私を観てくれている、応援してくれているファンも、大好き。
だけど、たまに思う。
もっと、違う生き方もあったのかな、って。
普通に学校に行って勉強して、普通にバイトして、普通に恋人を作って喧嘩して別れて、普通に。
普通に、普通の一般人として、あくせく働いて生きていく。
そんな人生に、少しだけ憧れた。
けれど、私は今、この場所で生きている。
蹴落されないように、足手まといにならないように必死に足掻いて、足掻いて、このステージに立っているんだ。
私を好きでいてくれるファンの為に、私は歌う、踊る、皆の大好きな笑顔をばら撒く。
狭いスポットライトの内側からは、何にも見えないけれど、観にきてくれた皆を笑顔にしたいから。
私は、これからも此処に居続けたい。
いつか必ず来る。
此処から巣立つ、その日まで。
テーマ「鳥かご」
おんなじ日の朝と夜に、僕と君は生まれた。
僕のほうが少しだけお兄さん、ちっちゃくて可愛い弟分の君の寝顔を、眺めているうちにウトウト。生まれたばかりだもん、まだ眠いの。
君はちっちゃいのにもうお喋りさんだ、僕ビックリして飛び起きちゃった。
ミルクをたくさん飲む君を見ていたら、僕もお腹が減ったよ、ママ、ミルクちょーだい。
緑と白、広いお外は、何だかへんな臭いがする。
君はまだお家の中に居なきゃ駄目なんだって、だから君の分も僕が楽しむよ。
はやく君と駆けっこがしたいな。
だから、はやく大きくなってね。
君のホワホワの尻尾を食んだら、君のママに鼻先を引っ掻かれちゃった。
テーマ「友情」
重くのしかかってくるような暑さから逃げるように、玄関のドアを開けて素早く内に入ると大急ぎでドアを閉めた。
ムン……、とした短い廊下を抜けてリビングの扉を開けると、ヒンヤリとした空気が抜けていく。
いきかえるー。
はあ、とひと息ついていると「おかえりー」とキッチンから君の声。
「ただいま」と返しながら君の手元を覗くと、真っ赤なスイカを切っている最中だった。
近所の人と半分こにしたらしく、他にも特売品が流しにところ狭しと並べられている。
今日あったことを楽しそうに話す君に時折、相槌を打ちながら、シャクりとスイカを頬張った。
テーマ「花咲いて」
十年くらい未来に行って、今見ているアニメを一気に見る。続編もあったら徹夜して見る。
それくらいにしか利用出来なさそう。
よくある自分を殺すとかも不可能だし、両親を別れさせても、結局自分は生まれるし。
運良く過去の自分に会えたところで、具体的なことは話せないから「もっと勉強しなさい」とか、当たり障りのないことしか言えない。
「こんな現実逃避してないで、真面目に生きなよ。おっさん。
ダメ人間でも、きっと何かの役には立つだろうから。」
過去の自分なら、きっとそう言うんだろうなぁ。
……あー殴りに行きたい。
テーマ「もしもタイムマシンがあったなら」