しじま

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5/17/2023, 4:44:25 PM

 季節外れの暑さだった昼間とは打って変わって、ひんやりとした心地良い夜風が開け放した窓から入ってくる。

 まだ五月、虫の音は聞こえてこない。

草木の奏でる微かな音が、しっとりとした細やかな風に乗って聞こえてくる。

 大昔の人はどんな音を聞いていただろうか。

ふと、そう思った。

 見渡す限りの山林原野に沢山の動物が居て、きっと今よりも賑やかだっただろう。

 夜風ももう少し冷たかったかもしれない、と肩にかけていたカーディガンに、さっと腕を通した。

テーマ「真夜中」

5/16/2023, 3:12:52 PM

 朝、いつものように起きると母が既に忙しそうにしていた。

顔を洗ってから朝食を食べる、シャケ、玉子焼き、味噌汁にアツアツのご飯。

 全て母が作ったものだ。

パジャマから制服に着替える。
パリッと糊の効いたブラウスとスカート、アイロンをしてくれたのも母だ。

 早くしなさい遅刻するわよ、母に急かされ玄関へ。

 きっちり揃えられた革靴、つるつるピカピカに磨かれていた。

 駅まで一緒に行こう、父が先に玄関で待っていてくれた。
つるピカの革靴を履いて父と玄関を出る。

 いってきます。 いってらっしゃい。

お見送りの母に父がチューをする。

母は、何だかとっても嬉しそうだ。

テーマ「愛があれば何でもできる?」

5/15/2023, 4:26:32 PM

 父がパチンコ屋で交換した望遠鏡、さっさと使っていれば良かった。

大好きな夜空の星をたくさん観察したかった。

今、星を見ようと夜空を見上げたところで。

見えるのは等間隔に並んだ星。

便利な世にするために大量に打ち上げられた人工衛星だけだ。


 ああ、もったいないことをした。

テーマ「後悔」

5/14/2023, 5:27:11 PM

 海に落ちれば溺れ死ぬ。

父は死んだと母がないた。
魚を追って、海に落ちたのだと。

 母が父の分まで魚を取りにいく。
僕は、「いかないで、そばにいて」とないた。
空腹なら、いくらでも我慢できる。

 それでも母は、魚を取りにいく。
母が必死で取った魚を僕は食べた。
早く大きくなりたい、父や母のように。

 もうすぐ羽根が生え揃う、そうすれば飛ぶことができる。

この長大な黒い翼で、誰よりも長く速く。

この広い大空を飛んでみたい。

テーマ「風に身をまかせ」

5/14/2023, 6:03:31 AM

 ようやく、あの忌々しい花粉やら黄砂やらが飛んでこなくなったので、それはもう晴れやかな気分で閉め切っていた窓をガラーッと開け放ち、外の新鮮な空気を思う存分吸いまくる。


気温20℃、湿度31%、快晴。

 絶好の洗濯日和だ。

レースのカーテンを引っぺがして風呂場に持っていき、まだ温い風呂の残り湯に粉石鹸を混ぜてそこに漬ける。

軽く混ぜるように洗っていると、灰色のような黄土色のような何とも言えない色になる湯。

ザッと引き上げて洗濯機に投入して、濯ぎ一回脱水8分でスタートボタンを押すと、チープな電子音のメロディーが流れる。

 この曲何だったかなあ、と考えながらリビングの椅子に座ってちょっと休憩。

くあっと欠伸一つ、窓の外のすっきりとした青い空を眺めた。

テーマ「おうち時間でやりたいこと」

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