季節外れの暑さだった昼間とは打って変わって、ひんやりとした心地良い夜風が開け放した窓から入ってくる。
まだ五月、虫の音は聞こえてこない。
草木の奏でる微かな音が、しっとりとした細やかな風に乗って聞こえてくる。
大昔の人はどんな音を聞いていただろうか。
ふと、そう思った。
見渡す限りの山林原野に沢山の動物が居て、きっと今よりも賑やかだっただろう。
夜風ももう少し冷たかったかもしれない、と肩にかけていたカーディガンに、さっと腕を通した。
テーマ「真夜中」
5/17/2023, 4:44:25 PM