たまむすび

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11/2/2025, 2:35:21 PM

秘密の標本

東の果ての片田舎の小さな家で君と過ごした日々
ささやかで幸せな時はある日突然失われた
静かに横たわる君と、抱えられた愛する幼子
徐々に温もりを失っていく君の耳元で私は初めて秘密をそっと打ち明けた
君はどこか安心した様子で永遠の眠りについた
手元に残ったのは僅かな君と愛娘の残り香だけだった

決して誰にも明かされることのない私の秘密の標本

11/1/2025, 1:47:33 PM

凍える朝

早朝に一人、外に出てそっと息を吐く。
白い息は静かに消えていく。
不意に貴方の声が聞こえた様な気がして振り向くがそこには誰も居ない。

凍える朝をあと何度迎えれば貴方に逢えるのだろうか

弱気な自分を振り払うようにもう一度大きく息を吸って大きく吐く

11/1/2025, 9:37:15 AM

光と影
貴方が皆を導く光ならば私は貴方を支える影となりましょう。
跪く私に貴方はそっと微笑んで、君だけが頼りだと言った。
貴方の為ならばなんだってできた。貴方の目指す未来が皆を救うのなら、どんなに手が汚れようとも、自分の命を捧げることすら厭わなかった。
けれど貴方は一人で全てを抱えて先へいってしまった。
どうして、私だけが頼りではなかったのか。
何が足りなかった?どこで私は間違えた?
いくら考えを巡らせても何一つ納得のいく答えは思い浮かばなかった。
目の前には穏やかな海が広がっているだけだった。

10/5/2025, 7:32:39 AM

今日だけは許して

「今日だけは許して」
いつもの彼女の口癖だ。
早めに起こしてほしいと頼んだくせに、もう少し寝たいと布団の中で駄々をこねる時、深夜だというのにお菓子を食べようとする時、色々な場面で彼女はこの台詞を口にする。
そして俺は彼女のこの口癖に弱い。
当然一度はダメだと言うが、彼女は怒られた子犬のようにしゅんと落ち込む様子を見せ、次は上目遣いで強請りにくる。結局、彼女の押しに負けて今回だけだと許してしまう。毎度甘やかしすぎだと自覚はしているものの、改善することはなく最近は半ば諦めている。
当然彼女もこの弱点を知った上で言うのだから、性質が悪い。
今日もまた俺は彼女のお願いに振り回されるのだろう。

9/17/2025, 8:47:05 AM

答えは、まだ。

偶々君と会った時、少しラッキーな気持ちになる。
神社で引いたおみくじが大吉だった時みたいに。
君と雑談している時、少し楽しい気持ちになる。
本屋で未開拓だったジャンルの本を見つけた時みたいに。
私が行き詰まって落ち込んでいるところに、君が励まそうとしてくれた時、少しあったかい気持ちになる。
銭湯で少しぬるいお湯に浸かった時みたいに。
君が隣で頑張っている時、少し応援したい気持ちになる。
テレビでスポーツの試合を観ている時みたいに。

近くて遠い君と私の関係を示す答えは、まだ。

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