秋風を感じる瞬間は減っている。
先刻までは汗をかいていたのに、今となっては防寒具を着ている。
そんな秋を思う時間だけは増えている。
お母さんは僕を大切に育ててくれる。
本当の子供じゃないのに。
でも、最近はご飯の量が少ない。
だから、他の子供たちを蹴落として、僕だけに獲物をくれるようにした。
ありがとう。
ホオジロのお母さん。
カッコウの僕をまるで自分の子供のように大切に育ててくれて。
じゃあね。
クラスのカップルが別れた。
クラス公認でラブラブに見えていた2人が、突然。
僕は驚きこそしたが、所詮は他人事。
時が経てば忘れるように感じた。
一週間後
「おい、先週別れたアイツ、先輩と付き合い始めたってよ。」
アイツ?
嗚呼、先週別れた。
また突然だな。
一週間後
クラスの気の遣い方も自然になり、付き合っていたという事実など知らなければ心地よく生活もできるようになった。
放課後。
校舎裏。
泣いていた。
アイツが。
声を掛けるか迷っていると、こっちを見た。
鉄の匂いがした。
「誰にも言わないで。」
涙の理由は、言ってはいけないと感じた。
ナイフが、光った。
好きな漫画の最新巻発売日。
夏休み前日。
大好きなあの子から誘われたお祭りの前日。
貴方から、「またね。」と言われたとき。
ココロオドル
僕は(自称)進学校に通っている高校生だ。
自称ながらも、進学校を名乗るだけあり、僕らの高校生活は忙しい。
束の間の休息という経験をあまりに多く得られる場所である。
定期考査と進研模試による、途切れのほぼないテスト期間。
各教科の小テストが無い、唯一の曜日、水曜。
テスト一週間前に訪れる、部活動禁止期間。
僕らはこの束の間の休息を精一杯に楽しみ尽くし、この経験を活かして、楽しい大人に成りたい。