あぁ、そうか。
これは僕のことだ。
このお題を見た瞬間に僕はそう思った。
地域で有名な進学校に入って、満足を得たのか、勉学をおろそかにし、さらには唯一続けてきた野球も辞め、志した文章さえも手放した。
透明と表現することも烏滸がましい。
「空っぽ」な自分。
もう一度時を戻すことはできない。
やり直せない。
だが、修復はできる。
そう信じる。
懈怠の心に苦しまされているようではだめだ。努力はね、していかないと。
口では何度でも言った。
為せば成る
そう何度も書いた。
そんな透明な決意はもうやめる。
行動を変えて運命を変える。
透明な存在にはならない。
聡明であれ
秋風を感じる瞬間は減っている。
先刻までは汗をかいていたのに、今となっては防寒具を着ている。
そんな秋を思う時間だけは増えている。
お母さんは僕を大切に育ててくれる。
本当の子供じゃないのに。
でも、最近はご飯の量が少ない。
だから、他の子供たちを蹴落として、僕だけに獲物をくれるようにした。
ありがとう。
ホオジロのお母さん。
カッコウの僕をまるで自分の子供のように大切に育ててくれて。
じゃあね。
クラスのカップルが別れた。
クラス公認でラブラブに見えていた2人が、突然。
僕は驚きこそしたが、所詮は他人事。
時が経てば忘れるように感じた。
一週間後
「おい、先週別れたアイツ、先輩と付き合い始めたってよ。」
アイツ?
嗚呼、先週別れた。
また突然だな。
一週間後
クラスの気の遣い方も自然になり、付き合っていたという事実など知らなければ心地よく生活もできるようになった。
放課後。
校舎裏。
泣いていた。
アイツが。
声を掛けるか迷っていると、こっちを見た。
鉄の匂いがした。
「誰にも言わないで。」
涙の理由は、言ってはいけないと感じた。
ナイフが、光った。
好きな漫画の最新巻発売日。
夏休み前日。
大好きなあの子から誘われたお祭りの前日。
貴方から、「またね。」と言われたとき。
ココロオドル