今日は金曜日
どんな真夜中にしようかな
眠ろうか 呑もうか どうしようか
明日お休みの人もそうじゃない人も
みんなおつかれさま
楽しいミッドナイトを
安心のもたらす弛み
不安が連れてくる焦り
どうして心はこんなにも忙しないのだろう
30代ってもうちょっと落ち着けると思ってた
あんまり変わってないのよね
よく考えたらそうだよね
私は私なんだもん
あの日のことはよく覚えてる
初めて二人で遠出した
手をつないで何の気なしに街を歩いて
思いつくままにあちこちへ
海岸線を先走って早歩きする
一緒にいるだけで楽しくて身体が軽かった
後ろから響くシャッター音
振り向くと逆光の中で笑ってる君がいた
スキップしないでと笑いながら言うものだから
わざとゆっくりスキップした
歩めなかった道
選べなかった道
辿り着けなかった道
選択の連続が人生をつくるなら
こんな夢を見た、の夢よりも誇らしい日々を送れますように
夢から醒めても幸せを噛みしめられますように
これでいいよりも、これがいいを選び取れますように
前略 24歳のお母さま
ごきげんよう、お母さま。
あなたのお腹の中にいる、私だよ。
私はタイムマシーンに乗って、未来から来たあなたの娘です。
せっかく来たけれど何だか気恥ずかしいので、手紙を認めていきます。
あなたが命懸けで産んでくれた娘は、常にあなたの良き理解者になります。多分。
なので安心して産んでください。
ただの他人である夫なんかより、よほどあなたの心の拠り所となり、時に喧嘩もしますが常にあなたの味方になりました。
優しくてその実繊細で、身を粉にして人に尽くすあなたを、見返りの無い愛で見守る娘であることをここに誓います。
これからあなたの身に起こる様々な困難や災難も、娘である私や親切な人たちのおかげでまるく収まります。
安心して失敗したり泣いたり笑ったりして、ありのままのあなたを謳歌してください。
娘より
PS、気味の悪いこの手紙を保管するかはお任せします