とさりと枝に残った冬の最後のカケラが落ちる音で、
巣穴で眠る子熊の兄弟の末っ子が目を覚まします。
「うぅん……誰だい僕を起こしたのは」
外を覗けばあたたかな日差しと鳥の声。
眠る前には沢山あった、
白くて冷たい雪はもうほとんどありません。
足を一歩踏み出せば、
小さな草が子熊の足先をくすぐりました。
「春だ!春が来たんだ!」
子熊は嬉しくなって駆け出しました。
「おぉい皆、春だ、春だよ!」
木の上から寝ぼけ眼のリスが顔を覗かせ、
足元で眠る植物達も目を覚まします。
「春だって?」
「本当だ、あたたかい。春が来たぞ」
「さあ顔を出せ、芽吹のときだ」
声を掛け合い、地上に手を伸ばす植物達。
もうじきお山はまた賑やかになるでしょう。
テーマ『芽吹きのとき』
君は覚えているだろうか。
満天の星空の下、笑いながら語り合ったあの日を。
声をあげて泣く君を抱いた、あの日の温もりの事を。
どうか忘れないで欲しい。
遠く離れても私の心は共にある事を。
どうか健やかに生きて欲しい。
君の心が青空のように晴れやかである事を、私はここでずっと願っているから。
テーマ『あの日の温もり』
「cute!」
また誰かが君を賛美する。
当たり前だ。
誰よりも純粋で、愛らしくて、人の事を第一に考える。
そんな君が愛らしくない訳がない。
誰もが君を好きになる。
「……でもね」
「私が好きなのは君だけだよ」
そう言って笑う君の笑顔は、やはり最高に可愛かった。
テーマ『cute!』
木の葉一つ、はらりと舞った。
夕暮れに染まる街で
今日の思い出を纏いながら
黄金にその身を輝かせ
くるりくるりと
落ちていく。
一つ、また一つと
風に背を押されては
その身を宙に踊らせゆく
その様を誰が憐れと思おうか。
テーマ『落ちていく』
はじめに生まれてから今日に至るまで
幾つの出会いと別れがあっただろう。
見知らぬ街の角で
遠い昔愛し合った君とすれ違った。
また先の時代で縁が巡り合うのなら
その時には最期まで隣に居たい。
テーマ『すれ違い』