4/22/2024, 7:57:33 AM
天から落ちた雫の粒が地上の花の手に優しく触れて、
「こんにちは、そしてさようなら」
と言って地面に吸い込まれて消えました。
花はその身を震わせ、地面に向かって囁きました。
「ありがとう、キミのおかげで僕は今日も生きていける」
そうして陽の光を浴びる為、両掌を目一杯広げたのでした。
テーマ『雫』
4/20/2024, 3:40:12 PM
そう言えてしまえたら楽だった。
そう吐き捨てれば良かった。
そう言い切るには僕は持ちすぎた。
いらない、なんてもう言えないよ。
それでも捨てたくなるのは僕が強欲すぎるだけなんだろう。
テーマ『何もいらない』
4/17/2024, 10:43:26 AM
ひらりひらりと
河津桜の今年最後の花弁が
君の面影をなぞって
風に溶け消えた。
はらりはらりと
透明な花弁がその跡を追うように
私の眼から頬をなぞって
足元に散り落ちた。
テーマ『桜散る』
4/11/2024, 10:35:46 AM
言葉にできない感情がずっと
頭の中で渦を巻いて
ぐるぐるぐる
赤い魚が横切るのを見送る
私は蹲っている
ぐるぐるぐるぐる
夜はまだ明けない
テーマ『言葉にできない』
4/7/2024, 5:18:31 AM
君の目は橄欖石
あるいは初夏の木漏れ日のよう
見つめているとなんだかどうしようもなく
君の優しさに甘えてしまいたくなるんだ
じっと目を離せないでいたら君が気づいて
緩やかに目を細めて笑うもんだから
泣きそうになるのをグッと堪えて
歪な笑顔を返すのが精一杯だった
テーマ『君の目を見つめると』