ふらりと立ち寄った古びた映画館。
上映されていたのはありきたりな恋愛映画で、
客は私1人だった。
「ハズレだな……」
嘆息しつつチケット代分くらいは、と私は映画を見続けた。
物語が終盤に差し掛かった時、後方の扉がキイッと音を立てた。
私はさして気にもとめず、スクリーンを見つめる。
画面の向こうでは主人公がヒロインに告白をするところだった。
慣れない手付きでヒロインの肩を抱き、そして口を開く。
「“君を、愛してる"」
突然、隣からも同じ台詞が聞こえて、私は驚いてそちらを見た。
「あの時の貴方そっくり。緊張して震えてた」
そこには妻が立っていた。
「……なんでここに」
「探した。執筆に行き詰まると思い出の地を巡るの変わらないね、作家先生」
「…………すまない」
謝ると妻は隣に腰掛けて、私の目を真っ直ぐ見つめた。
「謝罪なんて要らないわ。そんなのより……もう一度言ってくださらない?あの日みたいに」
そう言って変わらぬ笑顔を向ける妻の、その手を取ると私は返した。
「喜んで。但し今度は言葉を尽くして伝えよう、君への愛を」
テーマ『Love you』
ふざけるな!
同情の言葉を吐いて、
心の隙間に付け入って、
散々甘やかして、優しくして。
心を許したところでこの仕打ちだ!!
こんな事なら、
こんな結末になるのなら、
あの時その手を取らなければ良かった。
出会いたく無かった。
知りたく、無かった。
愛したくなんて……
ああ……勝手に置いて逝くな……馬鹿野郎
テーマ『同情』
命はやがて枯葉のように
散って、落ちて、降り積もって
そして新たな命の礎となるのでしょう。
ならばこそ
それまでは強く生きていきたいと
生きていかねばならぬと思うのです。
テーマ『枯葉』
帰り道、自転車で2人乗り。
海を眺める君の横顔を夕焼けが照らす。
ああこうしてまた今日が終わって、過去になっていく。
この日々はきっと永遠ではないから。
2人の心を1カケラ、ここに残していこう。
それはまたいつかの今日の為。
テーマ『今日にさよなら』
あの子はかわいい。
ちょっぴり捻くれてて、意外とお喋りさん。
話を聞いてくれるし、必ず相槌を返してくれる。
全部に反応してくれるから、たまにいじわるしちゃう。
怒った顔もかわいいねって言ったら不機嫌になっちゃった。
許してね、一緒にいれる今が嬉しくて堪らないんだ。
いつだって君の幸せを願っているから。本当だよ。
テーマ『お気に入り』